『ユージュアル・サスペクツ』『ブロードウェイと銃弾』のチャズ・パルミンテリを直撃!家庭内暴力を描いた新作とは?
映画『ユージュアル・サスペクツ』や『悪魔のような女』などで活躍し、映画『ブロードウェイと銃弾』ではアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたニューヨーク出身の俳優チャズ・パルミンテリが、新作『マイティー・ファイン(原題) / Mighty Fine』についてデビー・グッドスタイン監督とともに語った。
チャズ・パルミンテリ監督・出演映画『NOEL (ノエル)』写真ギャラリー
同作は、ニューヨークのブルックリンで暮らすジョー・ファイン(チャズ・パルミンテリ)は、夢を求め繊維工場をニューオーリンズで経営するために、家族とともに引っ越すことを決意する。だが、工場の経営が軌道に乗らず、彼はその怒りからドメスティック・バイオレンスを巻き起こすというドラマ作品。共演は、アンディ・マクダウェル、そしてアンディの娘レイニー・クアリーも映画初出演を果たしている。監督はドキュメンタリー作品『ヴォイスィズ・フロム・ジ・アティック(原題)/ Voices From the Attic』のデビー・グッドスタインがメガホンを取っている。
デビー・グッドスタイン監督は、彼女の育った環境を含めて描いたそうだ。「特に父親との関係は、わたしの育った環境と似ている点もあるわ。ただ今回は、怒りを制御できない人に焦点を置いて描こうと思ったの。このような多くの家庭で起こる家庭内暴力は、これまでよく黙認されてきていて、先日行った試写会でも、わたしの友人の父親がチャズが演じたジョーのようだったと明かしてくれたり、そのほかにも感情がコントロールできずに自殺したり、セラピーに通っている父親を持つ人もいて、この作品と同じような環境にある人々が、まだまだたくさんいることを改めて気付かされたの」と明かした。
出演経緯についてチャズ・パルミンテリは「家族を愛しているにもかかわらず、突然何かに取り憑かれたように、感情がコントロールできないという欠点のある男に興味を持ったんだ。それに監督のデビー自身も実生活でこのような体験をしていて、真実味を帯びた作品に参加してみたいとも思ったのがきっかけだ」と語り、近年テレビ作品の多かった彼が、久々に映画に食指が動いたようだ。
映画『NOEL (ノエル)』で監督デビューし、映画『ブロンクス物語/愛につつまれた街』でも脚本を務めたことのあるチャズ・パルミンテリと、どのようにセットで演出を行ったのか。「撮影期間は非常に短いクレイジーなものだったけれど、チャズはセットでかなり自分のアイデアを提案してくれたわ。彼とは撮影前に脚本について相談して、彼の意見を取り入れながら改稿もしていたの。そして毎日撮影が終わると、その夜に彼から電話が掛かってきて、次の日のシーンをどのようにするか事前に話し合っていたわ。彼はプロとして協力的な人で、彼が参加してくれたことに感謝しているわ」と素晴らしいタッグが組めたことを語った。
そんな良質な作品の制作のために監督をプッシュすることは、チャズは『ブロンクス物語/愛につつまれた街』でロバート・デ・ニーロに学んだそうだ。「ボブ(デ・ニーロ)には、あの映画の脚本を書いている時には限界になるまでプッシュされたよ! このように書き換えてみたらどうかといろいろ試されながら、最初の脚本のままでやっぱり良いかもしれないとか言われたりして、ヘトヘトになったときもあったが、自分にそれを乗り切れる精神があれば問題ないんだ。もちろん、人によってはそういう意見を全く受け入れない監督もいるが、デビー監督は快く受け入れてくれた」。
映画は、難しい感情の起伏をチャズ・パルミンテリが見事に演じ、家庭内暴力を真摯に見つめた映画に仕上がっている。チャズ・パルミンテリの次回作は、アニメ映画『ヘンリー&ミー(原題) / Henry & Me』が控えている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)