カンヌで絶賛されたハリウッドの新星が来日! オスカー女優、ティルダとの共演に俳優魂が刺激された!
昨年のカンヌ国際映画祭で高く評価された『少年は残酷な弓を射る』に出演したエズラ・ミラーが、撮影秘話や、共演したオスカー女優、ティルダ・スウィントンとの思い出を語った。
原作は英国女性作家文学賞最高峰のオレンジ賞を受賞したライオネル・シュライバーの小説で、その内容から「映画化は困難」といわれていたものを、『モーヴァン』のリン・ラムジーが映画化した衝撃作。はた目には美しく聡明(そうめい)な少年ケヴィンが、何故か母親だけに悪魔的な行動で反抗を続け、やがて取り返しのつかない事件を引き起こす。エズラは脚本を手にしたとき、「これはアートだ、すごい作品になると思った。狂気じみたキャラクターを演じることに、大きなリスクも感じたけど、演じる上で正気を失うなら、それでもいいと覚悟を決めた」という。
2008年に日本未公開の映画『アフターズスクール / Afterschool(原題)』でデビュー。カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭に出品されて注目された。以降、『シティー・アイランド / City Island(原題)』でアンディ・ガルシア、『エブリデイ / Every day(原題)』でヘレン・ハント、『アナザー・ハッピー・デイ』でエレン・バーキンら大物俳優と渡り合ってきた。今回、本作でオスカー女優のティルダ・スウィントンとの共演でも俳優として刺激されることも多かったようで、「ティルダだけはいつもクールでどんな状況でもリラックスしていたよ。ラストシーンに関して、僕はとてもナーバスになっていたんだけど、『作品を愛して、ここまでわたしたちは撮影に臨んできたのだから、リラックスして演じていれば大丈夫』と教えられた」と、ティルダの表情や口ぶりをまねながら、その場を再現。おちゃめな一面ものぞかせた。
「どう育ったら、あんな少年になるのか興味を持った」と、少年時代を演じる子役二人とコンタクトを取ったそうで「制作会社の中に作られた“ケヴィンルーム”で、過去のケヴィンと未来のケヴィンが遊んだんだよ」と撮影時の様子を振り返る。そこで、3歳の子役がニヤリと意地悪く笑う表情や、6歳児がちょっとだけ背中を丸めるしぐさなどをチェックして、自身の演技に反映させたそうだ。
好きな俳優はマーロン・ブランドとフィリップ・シーモア・ホフマン、今後の夢は「自分自身とはなるべくかけ離れたキャラクターを演じたい」。その甘いマスクからは、とてもあのケヴィンを演じたと思えない。そんなハリウッドの新星エズラ・ミラーの活躍に今後も期待したい。(取材・文:前田かおり)
映画『少年は残酷な弓を射る』は6月30日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開