『一枚のハガキ』の新藤次郎P、藤本賞を受賞 亡き父・兼人監督に「じっくり報告したい」
15日、千代田区丸の内の東京會舘で第31回「藤本賞」授賞式が行われ、『一枚のハガキ』の新藤次郎プロデューサー、『エンディングノート』の是枝裕和監督らが出席、喜びのコメントを寄せた。
新藤次郎プロデューサーら受賞者が出席!第31回「藤本賞」授賞式フォトギャラリー
藤本賞は、プロデューサーの功績をたたえる日本映画界では唯一の賞。成瀬巳喜男、黒澤明、今井正など名だたる監督たちと共に数々の傑作を世に送り出した東宝の名プロデューサー、藤本真澄氏にちなんだ藤本賞は、1981年に設立されて以来、優れた映画作りを推進してきたプロデューサーと監督に贈られてきた権威ある賞である。
今回、大賞を受賞したのは、5月29日に逝去した新藤兼人監督の遺作『一枚のハガキ』のプロデューサー・新藤次郎。株式会社近代映画協会代表取締役社長としても父・兼人監督の映画作りを支えてきた次郎プロデューサーは、「なかなか褒めてもらえることも少ないので、個人的に恥ずかしくもありますが。インディペンデントの映画作りは常に厳しいものでございますが、評価していただいて感激しています」とコメント。
父・兼人監督にも生前に受賞を報告できたそうで、「ああ、そうかという感じでしたが、たぶん俺の作品のおかげでもらえているんだぞと言ったような気がします。事実そうですし……。授賞式が生前に間に合わなかったのは残念ですが、じっくり報告したいと思います」と亡き父親への感謝の言葉を口にした。ちなみに新藤兼人監督自身は『三文役者』で、第20回藤本賞・特別賞を受賞している。
そして是枝監督は『エンディングノート』で奨励賞を受賞。「あくまでも僕は監督なので、この賞をもらっていいのか。居心地の悪さを感じておりますが、プロデューサーとしてはありがたい賞をいただいたと思っております。それに砂田麻美監督に対してもちょっとしゃくにさわる感じがありますが、今度は自分の監督作品をヒットさせて、プロデューサーを連れてこようとひそかに思っています」とユーモラスに話し会場を沸かせた。(取材・文:壬生智裕)
第31回「藤本賞」受賞者
大賞:新藤次郎(『一枚のハガキ』製作に対して)
特別賞:依田巽(『ヒミズ』の製作に対して)
特別賞:梅川治男(『ヒミズ』の製作に対して)
奨励賞:是枝裕和(『エンディングノート』の製作に対して)
新人賞:須藤泰司(『探偵はBARにいる』の製作に対して)