かつてのライバル松野明美から有森裕子に電報!「わたしなら金を取れたと今でも思っています」
16日、ヒューマントラストシネマ有楽町で、映画『[劇場版]ライバル伝説 光と影』の初日舞台挨拶が行われ、元オリンピックマラソンランナー有森裕子と菊野浩樹監督が出席した。本作でライバル関係が取り上げられている松野明美から「わたしなら金を取れたと今でも思っています」という電報が届くというサプライズもあった。
1992年のバルセロナオリンピック女子マラソン日本代表の最後の一枠を巡り、日本中の注目を集めた有森裕子と松野明美。選考結果の発表前日に「わたしを選んでください」とメディアを通じて訴えた松野の異例のテレビ会見は、当時物議を醸し、スポーツ史に残る事件となった。
この日登壇した有森は「選考問題」という言葉について、「わたしの一番嫌いな言葉」と発言。「オリンピックが来るたびに、わたしたちが直面したあの時の選考問題は、今は本当に解決されているのかと考えます」と訴えるようなコメントを残した。
バルセロナオリンピックでは結局、有森が代表に選ばれ、銀メダルを獲得した。その後20年間にわたって二人が対面することはなかったといい、そのことについて本作の菊野浩樹監督は「松野さんから聞いたんですが、何度か対面の話があったけど、全部有森さんに断られたらしいんです」と明かした。
「対面の機会をいただいても、心情的に、簡単には会えないとわたしのほうが避けていた。でも20年たってそろそろお互いちゃんと話ができるかなと思った」と有森。本作では見事に対面を実現させ、映画の見どころの一つとなっている。「わたしも心が広い方ではないんです。相手が走るのを見て『こけろ』とまでは思わなかったけど、ライバル意識は強くありました」と松野への気持ちも正直に告白した。
本作については「懐かしかったのと、こういう時間を経て今の自分があることを改めて大切に感じた」と感想を述べ、「松野さんとは今後は交流があると思います」と二人の関係が修復に向かっていることをうかがわせた。だが、最後に会場に届いた松野からのサプライズ電報が読み上げられると有森は思わず苦笑い。電報の最後には「私なら金を獲れたと今でも思っています」と昔と変わらぬ松野の熱いライバル心がしっかりつづられていた。(取材・文 名鹿祥史)
映画『[劇場版]ライバル伝説 光と影』は6月16日よりヒューマントラストシネマ有楽町、テアトル新宿、テアトル梅田ほかにて全国順次公開