大型公開の新作が惨敗!ノリノリ快進撃の『マダガスカル3』が2週連続ナンバーワン! -6月18日版
全米ボックスオフィス考
トム・クルーズとアダム・サンドラーもいよいよガス欠気味……というのが今週の週末ボックスオフィス結果に対する業界内の評判だ。これまで出せば当たるという感のあった両者の新作がこの週末、見事不発に終わってしまったからである。これに恩恵を受けたのが映画『マダガスカル3』で収益3,406万ドル(約27億2,480万円)をたたき出し2週続けての全米トップとなった。ちなみに本シリーズの2週目の下落率は、1作目が40.5パーセント、2作目が44.5パーセント、そして本作が43.5パーセントとほぼ2週目は40パーセント近く落ちるも、2週目で必ず総合収支は1億ドルをはじき出しており、今後もシリーズが続く可能性は高いと考えられる。(1ドル80円計算)
第2位は、先週と同じ順位にとどまったリドリー・スコット監督の映画『プロメテウス』で2,071万ドル(約16億5,680万円)。10日で8,937万ドル(約71億4,960万円)の総合興収を上げており、このままいけば大台の1億ドル(約80億円)も突破するであろう。第3位は、デビュー早々すっかりケチがついてしまったミュージカルを映画化した映画『ロック・オブ・エイジズ』で、何と1,444万ドル(約11億5,520万円)。1980年代に大ヒットした音楽をちりばめ、トムがロックスターを熱演する作品だが、3,470館でこの収益では残念ながら失格だ。
これまで夏に公開されたミュージカル映画『マンマ・ミーア!』のデビュー週末興収2,775万ドル(約22億2,000万円)、また映画『ヘアスプレー』の2,748万ドル(約21億9,840万円)と比較すると、『ロック・オブ・エイジズ』の不発感は一層はっきりする。いつもならアクション・スターとしてヒットを飛ばしているトムがミュージカルに出演しているということで、本来ならアクション映画のトムを楽しみに観に来ているファンの気が大きくそがれてしまったと考えられ、この映画に関してはトムの出演がむしろアダになったと思われる。
第4位は、こちらも惨敗組になってしまったアダム・サンドラー主演の映画『ザッツ・マイ・ボーイ(原題) / That’s My Boy』で1,345万ドル(約10億7,600万円)。上映館3,030館でこの数字では、製作費7,000万ドル(約56億円)の額から見ても負け組となってしまう。この映画も、『ロック・オブ・エイジズ』のトムの例と同様、元来ファミリー・コメディーで人気を得ているアダムが17歳以下は保護者の同伴が必要なR指定のコメディーに出演とあって、いつものファンがそっぽを向いてしまったための結果と思われる。
第5位は、グリム童話を基にしたアクション・ファンタジー映画『スノーホワイト』で1,327万ドル(約10億6,160万円)の収益。公開3週目の本作はすでに総合収益が大台の1億ドル(約80億円)を超え1億2,206万ドル(約97億6,480万円)を記録しておりなかなかの成績を収めている。今週は新しい大作2本が不振だったことから、上位12作品の総合収益は去年の同時期と比べておよそ16パーセント減となってしまったが、次回のランキングを左右する今週末に公開される話題作はどんな面々だろうか。
まず『マダガスカル3』をトップの座から引きずり降ろそうと狙っている新作が、ディズニー/ピクサー社の映画『メリダとおそろしの森』。『ハンガー・ゲーム』でも弓矢を巧みに操る少女が主人公で作品も驚異的なヒットを記録したが、この新作アニメの主人公も危機に立ち向かう気丈なお姫様が主人公で彼女も弓矢が得意である。ちなみにアメリカでは、今年に入り界隈の弓術クラスで少年少女たちの入会者が激増しているとか……。
そんなファミリー向けアニメに対戦を挑むのが、映画『リンカーン/秘密の書』。かのリンカーン大統領が、実はヴァンパイアたちをやっつける吸血鬼ハンターだったという何とも奇抜なストーリーの映画。果たしてこのとっぴさがどう転ぶか……いずれにせよ、新作が不調だったボックスオフィスへのテコ入れを期待したいところだ。(文・ロス取材: 明美・トスト/Akemi Tosto)