『009 RE:CYBORG』神山健治監督が語る!謎のベールに包まれた話題作
映画『009 RE:CYBORG』の神山健治監督が27日に新宿バルト9で行われた作品プレゼンテーションに出席し、制作途中の本作について語った。この日のイベントでは、特別編集版のPV映像を上映。石井朋彦プロデューサーによると「背景美術とキャラクターを合成しただけの6、7割の完成度」ということだったが、昨年の10月に公開された特別映像に比べても、そのアニメーションの完成度はかなりブラッシュアップされたものとなっていた。
石ノ森章太郎氏の「サイボーグ009」を原作に、『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズの神山健治監督が現代を舞台にして新たに作り上げる本作。これまでストーリーや登場人物についてはほとんど明かされていなかったが、特別公開されたPV映像には「爆破される六本木」「詰襟姿の島村ジョー」「赤いチェックのミニスカートをはいた少女」「ジョーがフランソワーズを救出。その後、見つめ合う二人」といった断片がちりばめられており、その背後にある壮大な物語を感じさせるには十分だった。
もちろんこれらの映像がストーリーにどのように関わってくるのかは不明だが、神山監督は「島村ジョーは30年以上たっても、サイボーグになったときの18歳の容姿のまま。永遠に続く高校生活を送っていました。では、彼はなぜ高校生を続けているのか。かつてゼロゼロナンバーサイボーグのリーダーとして活躍していながらも、今のジョーにはそのときの記憶がないのですが、そんな彼が世界の危機にどう立ち向かうのか、ということが物語のプロローグになります」と概要を説明した。
本作におけるキャラクターデザインは、石ノ森版キャラクターに比べ、よりリアリティーを追求。「今回は3Dで制作するということもあり、実写映画を作るようなイメージでアニメーションに挑戦しているんです」と明かした神山監督は、「アニメーションというのは、日本人が作れる『洋画』だと考えているんです。実写だと日本人俳優は日本人しか演じることはできませんが、アニメだとフランソワーズやジェット・リンクといった外国人のキャラクターを自由に出せる。僕は、日本のアニメはハリウッド映画に匹敵するものだと思っていますし、(本作は)世界に打って出られるものだと思います」と明言した。
その言葉を裏付けるように、本作は韓国、シンガポール、台湾、マレーシアの4か国での公開がすでに決定。ほかにも北米、ヨーロッパなどでも現在交渉中とのこと。国内では200スクリーン以上の規模で劇場からのオファーがあったそうだが、石井プロデューサーは「今回はティ・ジョイ系、TOHOシネマズ系の63スクリーンに劇場を絞りました。数億円の宣伝費をかけて300スクリーンで全国展開するよりも、もう少しコンパクトに、それぞれの劇場を超満員にするという戦略をとりたい」と解説した。(取材・文:壬生智裕)
映画『009 RE:CYBORG』は10月27日より公開