「告白」の湊かなえ、社会のルールを限界まで破れるのが小説の醍醐味
「贖罪」がWOWOWで連続ドラマ化された湊かなえが、自身の小説への思いを語った。2010年に松たか子主演で映画化され、最終興行収入38億5,000万円記録した「告白」の原作者として知られる湊。「贖罪」では、田舎町で起きた少女の殺害事件をきっかけに運命を狂わせていく5人の女性の物語を描いた。
小泉今日子、蒼井優ら豪華女優陣と映画『トウキョウソナタ』などで知られる鬼才・黒沢清監督の手によりドラマ化された「贖罪」について、「独特の世界観で引き込まれました」と絶賛する湊。中でも、小泉今日子演じる麻子が犯人と対峙(たいじ)することになる最終話は「原作でわたしが2行で終わらせたものを、素晴らしい形で最終話として膨らませていただいた」と感銘を受けたという。
「贖罪」でも「告白」でも、人間の心の闇に迫った湊は、「実際の社会生活では、人を殺してはいけないとか、セーブしなきゃいけないこと、守らなければいけないルールはたくさんあります。でもその先にあるものは何なんだろうと、とことん追求できるのが本の世界だと思います。もちろん読む人によって賛否両論はあると思いますが、フィクションの世界にリミッターをかけてどうするんだとは思います」とキッパリ。「『告白』や『贖罪』のイメージが強いと思いますけど、実はわたし、最近はいい話も書いているんですよ。ほかの本もぜひ読んでください」とアピールした。
ダークで突き抜けた作風の「贖罪」ではあるが、原作者の湊自身はおっとりと柔らかな物腰。しばしば会った人に「想像していたイメージと違いますね」と言われることもあるそうだが、「でも人間はわからないですよ」といたずらっぽく笑みを見せた。(数字などの情報は日本映画製作者連盟調べ)(取材・文:壬生智裕)
「贖罪 DVDコレクターズBOX」(税込み:8,990円)は8月24日発売