伊原剛志、日本人初の主演男優賞を受賞の喜びを語る!…でもトロフィーはもらっていない?
ブラジルの日系移民の間で実際に起きた悲劇を描く映画『汚れた心』の初日舞台あいさつが21日に都内で行われ、主演の伊原剛志が登壇。本作の演技で、ラテンアメリカのプンタデルエステ国際映画祭で日本人初の主演男優賞を受賞した喜びや、作品への思いを語った。
第2次世界大戦直後にブラジルの日系移民の間で実際に起きた、日本の勝利を信じ続けた勝ち組と、敗戦を受け入れた負け組の壮絶な争いを描いたブラジルのベストセラーを映画化した本作。写真館の店主タカハシ(伊原)は、大和魂の名の下に裏切り者の粛清に乗り出した元陸軍大佐ワタナベ(奥田瑛二)によって刺客に仕立てられ、血なまぐさい抗争の中で心身共に傷付き、妻ミユキ(常盤貴子)との愛さえも引き裂かれていく……というストーリーが展開する。
この日、伊原が本作での演技でラテンアメリカのプンタデルエステ国際映画祭で日本人初の主演男優賞を受賞したことを司会者が告げると、会場からは大きな拍手が沸き起こった。伊原は「監督から受賞の知らせをメールでもらいました。これはどの国でも起こり得る、人間の弱さを描いているので外国でもわかってもらえたのだと思う。でも、なぜか僕の手元にはトロフィーがない。どこへ行ったんでしょう?」とジョークを交えながら受賞の喜びを語った。
また、伊原は役づくりについて「ブラジル日系移民の方の歴史を勉強するところから始めました。現地でエキストラをしていた日系人の方に聞いたのですが、彼らの祖父母はたいてい勝ち組と負け組のどちらかに分かれていたそうです。でも、自分もそうだったのですが、人間は祖国から離れているほど、望郷の念が強くなる。情報が乏しい中、負け組も勝ち組も日本を愛していたからこそ起きた悲劇だと思う」と明かした。
そして最後に、「僕はロバート・デ・ニーロが大好き。仕事をチョイスするとき、(前と)同じ仕事(役)をしないようにしている。一つの役をやったら、次はそれを崩していきたい。これからもいい意味で、皆さんを裏切る役者になりたいと思う。今後も応援よろしくお願いします!」とさわやかに語りかけて締めくくった。(古河優)
映画『汚れた心』はユーロスペースほか全国順次公開中