木下恵介監督『カルメン故郷に帰る』がベネチア新部門の初上映作品に!カンヌに続く快挙
故・木下恵介監督の代表作となる映画『カルメン故郷に帰る』が、今年の第69回ベネチア国際映画祭から創設されるクラシック部門の初上映作品として選出された。今年生誕100年を迎える木下監督は、5月に行われた第65回カンヌ国際映画祭でも映画『楢山節考』が上映されており、ますます世界での再評価が進んでいることをうかがわせている。
1951年に発表された映画『カルメン故郷に帰る』は日本初のカラー長編劇映画。田舎に帰ってきた脳天気なストリッパー・カルメンが巻き起こす騒動を描いたコメディー作品で、後に『二十四の瞳』『喜びも悲しみも幾歳月』『永遠の人』といった作品を送り出すことになる木下監督と高峰秀子さんの初タッグ作として知られている。
クラシック部門で上映される同作は、松竹がIMAGICAと協力して昨年から行っているデジタル修復作業を反映したデジタル・リマスター版。同映画祭がワールド・プレミア上映となっており、日本凱旋(がいせん)上映は今秋を予定しているという。
ベネチア国際映画祭と木下監督は、1958年の映画『楢山節考』がコンペティション部門に出品されたという縁もある。アメリカでは『二十四の瞳』がゴールデン・グローブ賞を受賞し、『永遠の人』がアカデミー賞候補にもなるなど、すでに高い評価を確立しているその作品群。生誕100年を迎える今年、こうした国外での再評価をきっかけに、若い世代にも親しまれるようになることを願いたい。(編集部・福田麗)