「LAW &ORDER ロー&オーダー」のライナス・ローチ、低予算映画でヘッジファンドのトレイダー役に奮闘
映画『司祭』やテレビドラマ「LAW &ORDER ロー&オーダー」などで名をはせたイギリス出身の俳優ライナス・ローチが、新作『スーパーキャピタリスト(原題) / Supercapitalist』について、主演/脚本/制作を担当したデレク・ティンとともに語った。
ライナス・ローチ出演 映画『コネクション マフィアたちの法廷』写真ギャラリー
同作は、ニューヨークのヘッジファンドのトレイダー、コナー・リー(デレク・ティン)は、上司(ライナス・ローチ)の指示で香港に拠点を置いて、ある香港の大会社のもとで、大規模な取引を仕掛けるが、大きな変動が市場を刺激したために、世界的に波紋を呼ぶことになっていくという経済ドラマ作品。監督は、サイモン・インが務めている。
医者の父親のもとで育ったデレクは、映画界に入ることになったきっかけは「コーネル大学で演劇のクラスを受講して、アジアン・アメリカン・プレイハウスに参加したが、その後すぐ俳優の仕事ができるとは思っていなかったから、普通の仕事をしていたんだ。けれども2001年の同時多発テロによって、人生は短いと思って、再び俳優を始めた。最初はCMなどに出演できたけど、アジア系の俳優としてロクな役がなかったんだ。それから、6年も掛けてこの映画を制作することになったんだよ」と明かしたコナーは、一時期CNNでも働いていたことがあったそうだ。
プロデューサーも務めたデレクは、低予算のこの映画で、どのような経緯で演技派のライナス・ローチをキャスティングしたのか。「僕がこの映画の執筆中に、僕の友人からライナスを紹介されたんだ。もちろん、そのときはカジュアルな出会いだったから、とても映画に出演してほしいなんて言えなかったんだ……。ただ、それからヘッジファンドのトレイダーの中で上司役を書いているうちに、この役はゴールデン・グローブ賞にもノミネートされたことのあるライナス・ローチしかいないと思えてきたんだよ。そこで、思い切って2009年に彼に脚本を手渡したんだ。それから彼とともに少し改稿を加えて、制作することになったんだ」と長年映画界で活躍してきたライナスのアイデアも取り入れたようだ。
ライナスはリサーチの過程でヘッジファンドのトレイダーについて理解するのに苦労したそうだ。「正直、僕自身リサーチの過程でよくわかっていなかった。そこで、約2年掛けて個人トレイダーに成ろうとしている友人が、約1時間、ヘッジファンドに関していろいろな話をしてくれたが、それでも全くわからなかった。さらにその友人は、会社に勤めビジネスマネージャーになるよりも、個人トレイダーの方が稼げると話してくれたが、僕には彼のように成る勇気はなかったよ」とライネスが語った。
デレクがこの脚本をライナスに渡したのは2009年であったが、脚本を仕上げたのは、あのリーマン・ブラザースの破綻のあった2008年より半年前だったそうだ。ライナスは「僕がこの脚本を読んだときは、あのリーマン・ブラザースの破綻後だったため、僕はデレクにこの現在の経済の状況下に合わせて、脚本を改稿すべきだと提案したんだ。だが、彼はこの映画で道徳心を語りたいと主張していて、最終的に人が何に価値を置くのかが描かれる形になったんだ。それは素晴らしいストーリーだと思った」と語った。現況に合わせて書かなかったことで、普遍的な作品になったようだ。
映画は、やり手のビジネスマンが会社の経営というものがアイデアよりも、人々によって形成されていることを知らされ、現実を学び成長していく。中国系アメリカ人の若手俳優兼脚本家のデレク・ティンにも注目だ。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)