秋吉久美子、わたしもすぐ介護される側になる…介護問題をテーマにした主演作にしみじみ
11日、シネスイッチ銀座で映画『「わたし」の人生(みち) 我が命のタンゴ』初日舞台あいさつが行われ、秋吉久美子、冴木杏奈、松原智恵子、小倉久寛、木下あゆ美、和田秀樹監督が登壇した。
映画『「わたし」の人生(みち) 我が命のタンゴ』初日舞台あいさつフォトギャラリー
本作のメガホンを取った和田は、精神科医として20年以上にわたって高齢者医療に取り組んできた第一人者。「わたしなりに、お年寄りの医者となって感じたことを映画に詰め込んだ」と語る通り、本作のテーマは「介護離職」だ。「介護という壁にぶち当たった女性は、離職せざるを得ない」という日本の介護の現状を浮き彫りにしながら、それでも夢を諦めずに自分の人生を選択することの大切さを描き出す。
秋吉演じる主人公の百合子は、子育てを終え、長年の夢であった大学教授への道を歩み始めようとしていたが、そんな矢先に父の修治郎(橋爪功)の認知症が発覚する。秋吉自身「わたしが演じているのは、結構つらい役なんです。でも実は介護ってどこの家庭でも起こり得ること。演じていて、これは他人事ではないなと思いました。今回の役柄は介護する立場でしたが、そのうちすぐに自分が介護される側になるんだなと思いましたね」としみじみ。
「本当に(介護の)現実は厳しいですよね。ここにいらしている方たちは皆さん、共感を持って映画をご覧になられると思いますが、できれば、おいっこさん、めいっこさんなど、自分がしつけておきたいような、志のある若者たちにこの映画を薦めておいてください。10数年後に、20数年後には、少しはいいことがあるかもしれませんよ」という秋吉の冗談交じりのアピールに、中高年層を中心とした観客たちは大いに沸いていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『「わたし」の人生(みち) 我が命のタンゴ』はシネスイッチ銀座にて公開中