『セイジ -陸の魚-』で8年ぶりメガホン 多方面で活躍する伊勢谷友介の魅力
辻内智貴のベストセラー小説を映画化した『セイジ -陸の魚-』で、自身2本目となる監督に挑戦した伊勢谷友介。役者として活躍を続ける一方、監督、そして環境問題に目を向けた「REBIRTH PROJECT」代表とさまざまな顔を持つ伊勢谷の魅力に迫った。
盟友であるプロデューサーの龜石太夏匡、石田基紀と共に「挫折禁止」を掲げ、5年の歳月をかけて脚本を書き上げた伊勢谷は、監督デビュー作『カクト』以来、8年ぶりにメガホンを取った。主演は「芝居人として尊敬できて、本当に素晴らしい二人」と伊勢谷が絶賛する、西島秀俊と森山未來。役者たちとは、常にコミュニケーションを図りながら撮影を進めていくのだという。
「初対面の人も、昔からの仲間もいるから、仲良くなろうって集まるんだけど、男同士が話すことって結局エロ話! ゲームをしているシーンなんて、カットかかったあともずっと遊んでいたり(笑)。本当に仲良くなりました。反面、紅一点の裕木奈江さんとは、いつも真面目なお話をしていまして。その落差が楽しかったです!」とうれしそうに撮影を振り返った。
実は、本作の企画と同時に伊勢谷が進めていたプロジェクトがあった。現在自らが代表を務める「REBIRTH PROJECT」だ。「映画というのは虚構であり、たとえどんなに感動したとしても、映画館から出れば、デート相手との会話で忘れてしまう」、そう感じるようになったのは、映画『カクト』を監督したあとだった。「虚構と現実をつなげるために、人のため、未来のためになるプロジェクトを行う団体を映画に登場させ、かつ実社会でも立ち上げる、という挑戦をしました」。
「人類が地球に生き残るため」をコンセプトに立ち上げた「REBIRTH PROJECT」は、「マイクロ・パトロン・プラットフォーム」というシステムを活用した復興支援プロジェクトで、福島県の飯舘村の子どもたちのための卒業式を実現させて話題を呼んだ。
トナカイの着ぐるみ姿でスタッフたちと卒業式を盛り上げているときも、役者や現場スタッフたちと話し合いを重ねながら映画を作り上げていくときも、伊勢谷からは常に「作り出すこと」を心から楽しんでいる空気が伝わってくる。「人間同士の関わり合いが一番の最上級」と語るとおり、ポジティブにエネルギッシュに、仲間と共に一つの目標に突き進んでいく。リーダーシップと探究心を持つ伊勢谷が生み出した作品は、現実世界でも、映画でも、多くの人を魅了している。(編集部:森田真帆)