佐藤浩市、吉瀬美智子ら、宮本輝原作『草原の椅子』撮影がパキスタンで無事にクランクアップ!
芥川賞作家・宮本輝の同名小説を『八日目の蝉』の成島出監督が映画化した『草原の椅子』が、現地時間8月16日にパキスタンのフンザで無事クランクアップを迎えたことがわかった。日本での撮影終了後、8月4日より佐藤浩市、西村雅彦、吉瀬美智子、貞光奏風の4名のキャストがパキスタン入りして撮影に臨んでいた。
原作は、宮本が長編紀行「ひとたびはポプラに臥す」で旅したシルクロードの取材が基になった1999年に発表された物語。映画化に際し、設定を2011年に発生した東日本大震災後の東京へと変え、年齢も性別もバラバラな4人がひょんなことから世界最後の桃源郷といわれるパキスタン・フンザへ旅するさまを描く。
パキスタン初日は、予定していた飛行機が飛ばないというアクシデントに見舞われ、急きょ標高4,200メートルの山脈をバスで越え、約30時間かけて目的地を目指すことに。現地では「フンザでの雰囲気を大切にしたい」という成島監督の希望もあって、読み合わせや事前のリハーサルなしで撮影を行ったという。
パキスタンでは人が集まるところに女性の姿は全く見えず、バザールで撮影中、紅一点の吉瀬に現地の人々の視線が集中。珍しそうに近くまで寄ってジロジロと見てくる人たちに囲まれるということもあったとか。吉瀬も「わたしの人生でこんなにまじまじ見られたのは初めて」とコメントしており、日本との文化の違いに驚きを隠せないようだった。
フンザでの撮影を終えた佐藤は、「広大な砂漠と山脈の中にぽつんといると、本当にちっぽけだなと思った。久々にそこに映る(自分が)っていうのはどうなるのか、楽しみである」と作品の完成を心待ちにしている様子。全速力で砂丘を駆け上がるというシーンに挑んだ西村は、「あまりの砂漠の大きさにたじろいでしまったというか、思った以上に体力を持っていかれ、びっくりしました」とパキスタンの自然の雄大さとそこに住む人々の生命力に圧倒されたと語っている。世界最後の桃源郷での映像がどのように本作に彩りを添えるのか、楽しみな作品となっている。(編集部・市川遥)
映画『草原の椅子』は2013年春、全国公開