モントリオールが涙…実話を基に震災の遺体安置所描く『遺体 明日への十日間』ワールドプレミア上映
東日本大震災の被災地である岩手県釜石市の遺体安置所を題材にした映画『遺体 明日への十日間』が、カナダで開催中の第36回モントリオール世界映画祭でワールドプレミア上映された。現地には監督の君塚良一が入り、舞台挨拶や記者会見に出席。上映後は場内に観客のすすり泣く声が響いた。
福島県郡山市出身の俳優・西田敏行を主演に迎え、ノンフィクション作家・石井光太のルポルタージュ「遺体-震災、津波の果てに-」を原作に、遺体安置所での知られざる活動を描き、日本人の生死観を浮かび上がらせた本作。君塚監督は舞台挨拶で「昨年の3月、日本では大きな地震と津波で2万人近い人が犠牲になりました」と切り出すと、「この映画は被災地の人たちが犠牲者のために何をしたのかを描いています」と作品を紹介。
また、震災で犠牲になった方々に「死体」としてではなく「ご遺体」として接し、一刻も早く家族の元へ帰そうと奮闘した地元の人々を映し出す本作に「日本人の心を感じてください」とメッセージを送ると、会場からは温かい拍手が沸き起こった。計2回の上映に数百人の観客が押し寄せたが、目を涙で濡らし「ご遺体に対して、生前のお名前で呼びかけるシーンにとても感動した」や「作品を作る勇気に感動した」などのコメントが寄せらた。
劇場外で君塚監督に直接思いを伝えようと約50人の行列ができた『遺体 明日への十日間』の日本公開は、2013年3月予定。西田のほか緒形直人や勝地涼、國村隼、酒井若菜、佐藤浩市、佐野史郎、沢村一樹、志田未来、筒井道隆、柳葉敏郎らが出演している。(編集部・小松芙未)
映画『遺体 明日への十日間』は2013年3月公開予定