高岡蒼佑&高良健吾が明かした胸の内 若松孝二監督新作でベネチア映画祭に参加!
第69回ベネチア国際映画祭
若松孝二監督『千年の愉楽』で第69回ベネチア国際映画祭に参加している高良健吾と高岡蒼佑が、現地時間4日インタビューに応じた。紀州の路地に住む男たちの人生を描く本作で、高良は女との快楽にふける半蔵役、高岡は窃盗とヒロポンで生を実感している三好役で出演。若松監督の鋭い嗅覚もあって、共に絶妙なタイミングで出演依頼を受けたという。
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高良は「ちょうどそのころイライラしていた時期で、初めて監督にお会いしたときも心の中をぶつけてしまった。そうしたら監督が『大丈夫。そのまま現場に来たら良い』と言って下さった」。高岡にいたっては、ツイッター騒動など私生活が何かと話題になっているときだった。高岡は「どうやらオリュウノオバ役に決まっていた寺島しのぶさんが、若松監督に『今、高岡君を使ったら絶対面白いよ』と進言してくれたそうです。それで台本を読んだら“火を噴くように生きていたい”という三好のセリフが自分の思いと重なり、『この役は自分にしかできない』という気持ちが芽生えたんです」と胸の内を明かす。
本作は中上健次の同名小説が原作で、映画化する際、“中本の男は美しい“と表現されていたことから配役への関心は高かった。高岡は「登場する流れがいいですよね。井浦新さんから高良君、僕、染谷将太君とだんだん顔が濃くなっている」と笑顔。高良も「しかもそれぞれキャラクターが違うのが面白い。撮影現場で蒼佑さんの芝居を観て、そう来るか! と衝撃を受けた。三好はずっと路地裏育ちだけど、ほうぼうたらい回しにされた半蔵は生粋ではないことに気付いて。(役のために)準備していたプランを変えなきゃと思いました」と語る。共演シーンは少ないが、互いの存在が刺激になったようだ。
高岡は初のベネチア。高良は『サッド ヴァケイション』(2007年)に続き2度目だが、当時の渡航費は半分自腹だった。それが今では招待されるようになり、取材中も海外メディアから写真やサインをせがまれるほど注目の存在となっている。高岡が「それでも海外に来ると、(山本太郎との共演シーンなど)そういうのを気にせず、色眼鏡で見られることもないですからね」と言うと、高良は「でも若松監督は(騒動も)面白がってくれる。嫌われて(世間から)排除されても良いじゃんと。自分がそうやって生きて来た人。だから、一緒にいると居心地が良い」と応戦する。
冒頭、高良が明かしたイライラも、映画『横道世之介』(来年公開)やテレビ東京のドラマ「親父がくれた秘密~下荒井5兄弟の帰還~」(12日、後9時)で演じたのが明るい役だったこともあり「今は仕事も忙しくなく(心に)余裕があります。自分でも、生活の中で(ストレスをためないよう)気をつけています」。高岡も、新たな仕事の依頼が来ているようで「若松監督のように、影で僕を見てくれていて、声をかけて頂けるのは有難い」としみじみ語る。井浦新のように、若松監督と出会って新境地を開く役者たちも多い。2人が今後、役者としてどのように羽ばたいていくのか注目したい。(取材・文:中山治美)
映画『千年の愉楽』は2013年初春公開予定