巨匠テレンス・マリック監督に捜索願!ベネチアから巨匠へ皮肉交じりのメッセージ?
第69回ベネチア国際映画祭
新作『トゥー・ザ・ワンダー(原題) / To The Wonder』が第69回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に選出されている、テレンス・マリック監督の捜索願が映画祭会場内に貼り出された。かたくなに公の場に出て来ないマリック監督の姿勢を、イタリアの映画関係者が皮肉ったイタズラだ。
マリック監督は、映画『ツリー・オブ・ライフ』が最高賞のパルムドールを受賞した2011年のカンヌ国際映画祭でも記者会見を欠席した。そのときの理由はプロデューサーによると「作品の中で自分の思いを語っているので、それ以上を語る必要はない」というものだった。その後、同作品が作品賞と監督賞にノミネートされた今年2月の米アカデミー賞授賞式も欠席。そして今回のベネチアも記者会見に現れなかった。今度の理由は「新作の準備のため」だという。
もっともカンヌのときは、公式上映に立ち会っていたことが後日発覚。今回のベネチアでも、こっそり上映を見守っていた可能性は高い。現地時間8日に受賞結果が発表されるが、何らかの賞に絡んだ場合、マリック監督が姿を見せるのかも注目されている。
ちなみに、「この男を見たことありますか?」と書かれた捜索願は、映画祭スタッフによってすぐに剥がされてしまったようだ。「伝説の監督にひと目会いたい」という思いは映画ファンなら皆同じだが、寡作だったマリック監督がここ数年、精力的に新作を発表するようになっただけで満足するべきなのかもしれない。(取材・文:中山治美)
第69回ベネチア国際映画祭は9月8日まで開催