『鍵泥棒のメソッド』内田けんじ監督、コメディ映画講義を開催!
17日、現在開催中の「第5回したまちコメディ映画祭in台東」にて、コメディ映画講義と称したトークショーが行われ、現在公開中の映画『鍵泥棒のメソッド』の監督・脚本を務めた内田けんじ監督が出席した。
先の読めない展開や予想外のラスト、気が付くと物語の主眼が変わっている内田ワールド。観ている者を驚かせる作品を撮り続ける内田監督は20歳の時、サンフランシスコ州立大学芸術学部映画科に海外留学している。「バブルが弾ける直前で、留学ブームみたいのがあったんですよね。志が低い人でも行けたんです」と冗談ぽく語ったが、中学1年の時にすでに「留学して映画監督になる」と友達に宣言していたという。
帰国後は脚本執筆。「まずは脚本を書きました。でも映像化の可能性ゼロで、誰も読んでくれない。脚本って誰かに読んでもらって、色々直していくものだと思うのですが、それがなくて、ノイローゼ気味になりました。そんなとき、パソコンである程度、簡単に映像編集できる環境が整いつつあったので、友達を集めて撮ったんです」と映画『WEEKEND BLUES ウィークエンド・ブルース』製作のきっかけを明かした。
そんな内田監督だが、最新作の映画『鍵泥棒のメソッド』が第15回上海国際映画祭で脚本賞を受賞するなど、作品には脚本へのこだわりが強く感じられる。「脚本は第一稿が上がってからがスタート。それを何人かに読んでもらって、その意見を反映して脚本を直していく。ダメなときは全部捨てて、書き直すことも多いです。最初から人間の深い感情を描いてやろうなんて思ったら書けない。世界一くだらない作品書いてやろうって感じです」と執筆の極意を語った内田監督。その後も、詳細な脚本執筆方法や、映画が出来るまでのプロセスがユニークに語られ、目から鱗の面白いトークに会場は酔いしれた。
次回作について、内田監督は自らの頭上の少し先を指差し「このあたりに漠然としたものはあります」と詳細は明かさなかったが、独特の言い回しでイメージを表現した。(磯部正和)