公私混同はハリウッド映画の醍醐味!やり過ぎぐらいがちょうどいい?
一人の女性をめぐって、CIAの二人の男があらゆる諜報(ちょうほう)テクニックを駆使し、大バトルを繰り広げるスパイ・アクション映画『Black & White/ブラック & ホワイト』は、その公私混同のエスカレートぶりが物語の魅力でもあるが、本作のように主人公が自身の立場を利用して私欲や個人的な調査に乗り出すという“公私混同”は、ハリウッド映画では定番だ。
例えば考古学者なのに財宝を荒らす『インディ・ジョーンズ』シリーズのインディアナ・ジョーンズや、政府所属のスパイなのに数多くの美女に手を出す『007』シリーズのジェームズ・ボンド、私欲のためにインサイダー取引に手を出す『ウォール街』のゴードン・ゲッコーや、デンゼル・ワシントン演じる悪徳警官アロンゾ・ハリスが、立場を利用してチンピラから金や麻薬を巻き上げる映画『トレーニング デイ』なども公私混同が、はなはだしい。
映画『Black & White/ブラック & ホワイト』は、CIAの敏腕エージェント・コンビ、FDRとタックが同じ女性ローレンを好きになったことから、職権を乱用し、壮絶なスパイ合戦を繰り広げるというスパイ・アクション。彼女の家に潜入して盗聴器や監視カメラを仕掛けたり、衛星を使ってどちらかのデート現場を監視したり、優秀な部下を使って、彼女の好みから家族構成まで調べあげるなど、二人の男が一人の女性をめぐって仕掛ける内容の公私混同ぶりは、やりすぎを通り越して、もはやさわやかな笑いだ。
本作の主人公のようなスパイになれるとしたら何がしたいか、とのアンケートでは「気になる人物をトコトン調べ上げる」や「彼or彼女の部屋を盗聴&監視する」という恋愛寄りの答えよりも、「超タフな身体能力を身に付けたい」という回答が上回っており、公私混同というより、業務のためのスキルアップを目指す答えが多かった。この結果からみると、日本人はアメリカ人のようにあまり大胆な行動ができないということか。公私混同といっても、せいぜい会社のボールペンを家に持ち帰ってしまった……というくらいなのかも。ハリウッド映画のだいご味は、そんな日常とかけ離れた大胆さにある。「そこまでやるか?」というくらいの内容のほうが、むしろ観客の反応も良いものだ。『Black & White/ブラック & ホワイト』もそんな期待を裏切らない、公私混同のやりすぎ映画の一つといえるだろう。(山元優)
『Black & White/ブラック & ホワイト』ブルーレイ&DVDは発売中
エクステンデッド・エディション 2枚組ブルーレイ&DVD&デジタルコピー〔初回生産限定〕4,190円(税込み)
発売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン株式会社