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『プレシャス』のリー・ダニエルズ監督の新作『ザ・ペーパーボーイ』が上映!

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(左から)デヴィッド・オイェロウォ、リー・ダニエルズ監督、ニコール・キッドマン
(左から)デヴィッド・オイェロウォ、リー・ダニエルズ監督、ニコール・キッドマン

 現在開催されている第50回ニューヨーク映画祭(50th N.Y.F.F)に出品されている話題作『ザ・ペーパーボーイ(原題) / The Paparboy』について、映画『ムーラン・ルージュ』や『コールド マウンテン』などでおなじみのニコール・キッドマンが、リー・ダニエルズ監督、共演のデヴィッド・オイェロウォとともに語った。

リー・ダニエルズ監督作品 映画『プレシャス』フォトギャラリー

 同作は、フロリダのマイアミに戻ってきた記者のウォード・ジャンセン(マシュー・マコノヒー)は、記者ヤードリー(デヴィッド・オイェロウォ)と弟ジャック(ザック・エフロン)とともに、白人保安官殺害事件の調査を開始する。彼らは、その犯人として逮捕され、死刑を言い渡されたヒラリー(ジョン・キューザック)と刑務所で接触するが、ヒラリーと文通する妖艶な女性シャーロット(ニコール・キッドマン)に惑わされ、事件の真相から徐々に遠ざかっていくというドラマ作品。監督は、映画『プレシャス』のリー・ダニエルズがメガホンを取っている。

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 まず、リー・ダニエルズ監督は「最初は、ペドロ・アルモドバルが今作を監督する予定だったんだ」と明かした。10年間ペドロ監督が温めてきた作品を委ねられたそうだ。「僕は『プレシャス』以降、原作を読んでからずっと心に残っていたんだよ。原作と今作との違いは、デヴィッド・オイェロウォ演じるキャラクター、ヤードリーは、もともと原作では白人の設定だったが、僕はこの映画の撮影前にデヴィッドとマーティン・ルーサー・キング・Jrを描いた映画『セルマ(原題) / Selma』を描く予定だった。ところが(資金調達ができず)製作できなくなってしまった。ただ、その後も僕の頭の中は公民権運動でいっぱいになっていたため、この原作では白人であるヤードリーを黒人の設定に変えて、60年代の人種差別からの緊張感も映画内で描くことにしたんだ」と原作に忠実ではなく、さらにヤードリーというキャラクターは、リー監督自身も投影させていることを語った。

 デヴィッド・オイェロウォは、この映画の脚本を渡されたときには混乱したそうだ。「『セルマ(原題)』で、マーティン・ルーサー・キング・Jrを演じる予定だった僕は、およそ一年半掛けて準備していたんだ。ところが製作中止を言い渡されたときに、この映画の脚本が送られてきた。そのときは公民権運動を題材にした映画の後に、こんなセクシャルスリラー作品を、なぜリー監督は僕に依頼してくるのかと思ったよ(笑)。ただリー監督から、『実際に僕らがハリウッドで活躍しているときと、自宅(家族のもと)に帰ったときの顔は違うだろ。一体どのようなマスクをかぶって僕らは普段行動しているのか、気づかさせられることがあるんだ。そんな表面上のマスクをかぶっている人たちが、たくさん居たのが人種差別のあった60年代で、そんな60年代を描きたいんだよ』と告げられたことで、出演することを決めたんだ」とリー監督の熱意に引込まれたようだ。

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 ニコール・キッドマンは、囚人ヒラリーに恋するシャーロット役を演じるうえで「脚本を読んだ後、リー・ダニエルズ監督との会合で、彼に囚人の男性と恋愛関係にある5人の女性を紹介してもらい、彼女たちとのインタビューを通してこのキャラクターを見出していったの。その5人のうちの一人と話したときは、この役はわたしに向いていないうえ、真実味が無いとも思ったけれど、もう一人インタビューした女性は、わたしに『ぜひ演じてみなさい!』と後押ししてくれて、それで自信が付いたの」と、彼女たちから多くの情報を得たことを語った。一方、身体的なアプローチについては「どのように性的なイメージを見せられるかを考えたけれど、自分が考えるよりむしろ、性的自由な表現は人から情報を受け入れることが良いと思い、リー監督が要求してきたセクシーなことを(映画内で)全部やってみせたの」と語る通り、彼女の性的な緊張感がこの映画の鍵を握っていると言っても過言ではない。

 最後に、リー・ダニエルズ監督はこの映画を製作するため60年代から70年代の初期にかけて製作された映画『暴力脱獄』や『招かれざる客』などの映画を鑑賞しながら研究し、今作の映像を作り上げたことを話した。映画は、ニコール・キッドマンの熱演はもちろん、これまでの作品と違った演技を見せるザック・エフロンにも注目だ。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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