ブライアン・デ・パルマ、若手監督との交流にスピルバーグたちとの活動を思う
第50回となるニューヨーク映画祭で、新作『パッション(原題) / Passion』がUSプレミア上映されたブライアン・デ・パルマ監督と、同じく最新作『フランシス・ハ(原題) / Frances Ha』が上映されたノア・ボーンバック監督が現地時間9日、映画祭の特別企画として2時間にわたる「ニューヨーカー監督対談」を行った。
二人は1996年、ポール・シュレイダー監督の50歳のバースデー・パーティーで初めて出会ったという。「緊張して、ブライアンの監督作の全タイトルを述べることに終始した」と苦笑しながら初対面を述懐するボーンバック。彼にとってデ・パルマが「映画界のアイドル」で、デ・パルマもボーンバックの作品を観て気に入っており、さらに当時お互い近所に住んでいたこともあって、それ以降親交が続いているという。
その後、二人はウェス・アンダーソンやジャック・パルトローと監督サークルを結成し、「それぞれの作品について意見を交わし、助言をし、クリエイティヴな刺激を与え合っている」のだという。デ・パルマは、駆け出しだった1970年代にステイーヴン・スピルバーグやフランシス・フォード・コッポラ、ジョージ・ルーカスらと「ムービー・ブラッツ」なる監督友愛会を結成し、お互いの作品の編集を手伝ったり、脚本に意見を出し合っていたこともあり、「ノアたちとのサークルは、あの会を彷彿(ほうふつ)とさせるね」と昔を懐かしみながら語った。
終盤のQ&Aでは、アカデミー賞にもノミネートされたボーンバックの代表作『イカとクジラ』が半自伝的な内容であることから、「プライベートを映画で語ることに抵抗はなかったか?」という質問が客席から飛んだ。ここでデ・パルマはボーンバックを制し「アーティストは真実を語ることが大切だ。そのためには自分自身をさらけ出さなければいけないんだ」と熱弁。それにうなずくボーンバック監督の笑顔が印象的だった。(小林真里)