探偵映画がひそかなブーム! ホームズやポー、ポランスキー作品まで
昨今、名探偵シャーロック・ホームズの物語を大胆な解釈で映像化した作品がヒットしたり、推理小説というジャンルを生み出したエドガー・アラン・ポーを主役に据えた作品まで登場したりするなど、探偵映画・ドラマがひそかなブームになっている。数ある探偵ものの中から、ストーリーだけでなく卓越した映像力を誇る作品に迫ってみた。
ブームの火付け役となったのが、ホームズを肉体派のアクションヒーローとしてよみがえらせた映画『シャーロック・ホームズ』(2009)だ。ガイ・リッチー監督がアクションシーンでスローモーションを駆使し、スタイリッシュな作品に仕上げている。ホームズ役にロバート・ダウニー・Jr、ワトソン役にジュード・ロウという意外ともいえるキャスティングが功を奏し、第3弾の製作も決まるほどの人気シリーズになっている。
映画『シャーロック・ホームズ』に負けじ(?)と作られたのが、BBC製作のテレビドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」(2010)。『シャーロック・ホームズ』との大きな違いは時代設定で、本作では21世紀を生きるホームズがスマートホン片手に事件を解決するさまが描かれる。ホームズの頭に浮かぶ単語を実際に文字として画面に表示するという演出も斬新で面白い。
巨匠ロマン・ポランスキー監督が久しぶりに本格サスペンスに挑んだことで話題を呼んだ『ゴーストライター』(2010)も映像力に優れた秀作。主人公はタイトル通り「ゴーストライター」で探偵ではないが、一つ一つ真実に迫るさまは探偵映画さながらスリリングさで、ポランスキー監督は同作で第60回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞するなど批評家たちからも評価の高い作品だ。
さらに、探偵が主人公という設定では飽き足らず、推理小説というジャンルの父であり「モルグ街の殺人」などで知られる作家エドガー・アラン・ポーを主役に据えて謎解きをさせる『推理作家ポー 最期の5日間』(公開中)まで登場。ポーの死の真相を史実とフィクションを織り交ぜ、『Vフォー・ヴェンデッタ』のジェームズ・マクティーグ監督がゴシック観あふれる映像美で描き上げている。主人公と一緒に頭を使って、美しい映像という芸術に触れることのできるこれらの探偵映画は、「学問」そして「芸術」の秋にぴったり。近年のブームである探偵ものを秋の夜長に鑑賞してみてはいかがだろうか?(編集部・市川遥)
ドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」シーズン2は発売中、価格:税込み9,975円(DVD-BOX)、1万2,495円(ブルーレイBOX)、発売元:角川書店