渡辺謙、ヒグマ居住地で『許されざる者』過酷オールロケを敢行!決意の酒断ちも告白!
クリント・イーストウッド主演・監督の同名作を、李相日監督、渡辺謙主演でリメイクする新作映画『許されざる者』の撮影が、このほど報道陣に公開された。江戸幕府崩壊後の蝦夷地を舞台にした本作は、北海道・上川町に組まれた広大なオープンセットで撮影を敢行。渡辺は、江戸幕府側の残党で再び戦いに身を投じることとなる男・釜田十兵衛役を演じる。
報道陣に公開されたこの日の現場では、十兵衛が柄本明演じる元相棒・馬場金吾ら仲間と共に女郎部屋を訪れるシーンを撮影。女郎部屋セットの奥に作られたいろりのそばでは、注がれた酒を静かに遠ざける十兵衛の動きを、渡辺と李監督が入念に話し合いを重ねながら作り上げていた。渡辺は「イーストウッドが演じた主人公と同じく、十兵衛も妻と出会ってからは酒を断っている設定。僕も撮影中は酒断ち中です」と話し、夜はノンアルコールビールで乾杯していることを明かした。
四方に広がる山々と荒野……江戸幕府崩壊後の蝦夷地を見事に再現したオープンセットには渡辺も「北海道の大地を、体に取り込んでいく感覚」と感動しきり。だが、撮影も夜中になると、さすがに怖いそうで、携帯現場も通じないほどの山奥で「熊の出没」におびえる日々だとか。「ここは、もともと熊の居住区で、地元の人もほとんどこないエリア。ヒグマが出るらしくて。ガサッていうたびにビクビクしているよ」と苦笑いを浮かべた。
夕方には、オリジナル版でジーン・ハックマンが演じた、恐怖で街を統治する極悪非道の警察署長・大石一蔵を演じる佐藤浩市も現場入り。今月1日から北海道入りしている佐藤だが、渡辺との共演シーンはこの日が初めて。撮影が始まって約1か月、渡辺との対峙(たいじ)を待ち続けたという佐藤は、「今日という日をずっと待っていましたよ」と一言。十兵衛に対し壮絶な暴力を加えるシーンの撮影を控えた佐藤の目は、すでに周囲の誰も近寄りがたい殺気に満ちていた。
一つ一つのシーンを、じっくりと作り上げていく李監督は、初めてタッグを組む渡辺について「謙さんと十兵衛との境目が無くなっていく瞬間を探している感じです」とコメント。一蔵を演じる佐藤についても、「凶暴さとその裏側をどう探っていくか、一番難しい役どころ」と話す一方、「まだまだイケるのでは?」と期待を込める。撮影はまだ半ば。11月に入れば寒さは増し、スタッフやキャストにとっては苦難の日々がやってくる。北の大地でぶつかり合う男たちの息づかいは、オリジナルに負けない傑作の誕生を予感させた。(編集部:森田真帆)
映画『許されざる者』は2013年秋、全国公開予定