幼い頃から難病と闘い続けた双子姉妹、肺移植で知った人生の喜び語る
幼い頃から肺の難病「嚢胞性線維症」(のうほうせいせんいしょう、通称CF)を患いながらも、臓器移植によって新たな人生を手にした双子のアナベルとイザベルが、自分たちの半生を追ったドキュメンタリー映画『ミラクルツインズ』を語った。
1972年生まれのアナベルとイザベルは、共に現在40歳。映画では、入退院を繰り返していた彼女たちの幼少期が映し出される。いくつものチューブにつながれた少女の姿は、胸が締め付けられるほど痛々しい。「肺に粘液が詰まって呼吸困難を起こすとすごく苦しい。それでも、アナと二人で、お互いを励まし合いながら日々を過ごしていました」と、イザベルは当時を振り返った。
これまで何度も命の危機に直面し、苦しみを乗り越えてきた二人だったが、2000年にアナベルが、2004年にはイザベルが肺移植を受けて成功。今ではボランティアや講演活動の傍ら、山登りを楽しみ、水泳をする充実した日々を送っている。満面の笑顔を浮かべたアナベルは「わたしたちの人生は本当に変わりました。スーッと思い切り息を吸い込めるのが、とてもうれしかった」と語る。
毎年2万8,000件の臓器移植が行われているというアメリカ。一方、先進国の中で最も臓器移植の数が少ないといわれている日本では、実際に移植を受けられるのは、年間わずか300人。いまだ1万人以上の人が、臓器の提供を待ち続けている。
わたしたちにできることは何なのか? 二人は、「まずは、わたしたちの映画を観てほしい」と語った。「移植を望んでいる人たちの苦しみ、そして新しい肺を移植したあと、どれほど人生が輝くのかを知ってほしい。映画を観ることで、臓器移植について考えてもらうことが第一歩だと思っています」。
臓器提供の意思表示の方法は、インターネットによる意思登録のほか、臓器提供意思表示カード、そして健康保険証や運転免許証の意思表示欄がある。「わたしたちはドナーとその家族に一生感謝しています」と話した二人は、「臓器提供というのは、ドナー家族にとっても大変な決断です。ですが、実際の移植はいかに早く決断するかが大切になってくるのです。普段から、家族で話し合う機会を持っていただければうれしいです」と訴えた。(編集部:森田真帆)
映画『ミラクルツインズ』は、11月10日より渋谷アップリンクほかにて全国順次公開