渡辺謙『許されざる者』クランクアップ!イーストウッド版を“再生”
クリント・イーストウッドが監督、主演を務め、第65回アカデミー賞で作品賞を含む4冠を果たした映画を、渡辺謙主演で日本版として“再生”した『許されざる者』が11月27日、クランクアップを迎えた。
9月22日より根室、阿寒、知床、上川郡上川町など北海道で大規模な撮影を行ってきた本作。11月27日、約2か月の撮影を終えた李相日監督は、「たくさんのスタッフとキャストが2か月を超える撮影に費やした労力は、間違いなく映画の力となってフィルムに焼き付いていると信じます。謙さんと長く濃い旅路を共にできたのも、監督冥利に尽きるというもの。ただ、監督個人としては感傷に浸るより、撮影でやり残したものを編集や仕上げ作業でどれだけ挽回できるかに気を向かわせねばならず、やり切ったと言うにはまだまだでしょう」と映画の完成まで気を抜かぬ、力強いコメントを寄せている。
イーストウッド版ではモーガン・フリーマンが演じたネッド・ローガンにあたる馬場金吾を演じた柄本明が「笑っちゃうほど本当に大変な撮影でした」と振り返る本作の撮影。渡辺は、「フィルムを通して監督と語り合っている」という初めての感覚を味わいながら撮影を進めたといい、「こう思ったから、こう表現するだけでないもの、その奥に何があるのか? みたいなことをいつも考えていました。それが大きなスクリーンを通し、どう伝わるか、僕は楽しみです」と語っている。
また、そんな渡辺との共演について「この時期、この年齢で、このキャリアで共演できたってことは、運命として良かったなと思います」と感慨深げに語る佐藤浩市が、イーストウッド版ではジーン・ハックマンが演じたリトル・ビル・ダゲットにあたる大石一蔵役を務めた本作。そのほか、顔を切り刻まれた女郎役で忽那汐里、年長の女郎役で小池栄子、渡辺演じる釜田十兵衛と同じように賞金首を狙う者として柳楽優弥、國村隼が出演する。
今回公開されたポスターで、背中を見せ、イーストウッド版に勝るとも劣らない威圧感を与える渡辺。本作について、「業という意味で言うと、人間は誰しも許されない。生を受けた時からある種、何かに迷惑を掛けたり、何かにすがったり、何かの支えがないと生きていけないっていう中で生きざるを得ないわけで、そういう“許されない者”たちが、どう生きていくのかというドラマという気がします」と語り、映画の完成に期待を寄せた。(編集部・島村幸恵)
映画『許されざる者』は2013年9月13日より全国公開