労働者諸君、『男はつらいよ』の「朝日印刷所」を再現!記念館がリニューアルオープン
リニューアルオープンを果たした葛飾区柴又の寅さん記念館に15日、山田洋次監督が来場し、細部にわたって再現されたタコ社長の「朝日印刷所」セットに驚きの表情を見せた。
「山田洋次ミュージアムオープン・寅さん記念館リニューアル記念式典」フォトギャラリー
山田監督の足跡を紹介する「山田洋次ミュージアム」のオープンに合わせ、「寅さん記念館」もリニューアルオープン。リニューアルのポイントは、大船撮影所で実際の撮影に使用された「くるまや」セットの隣に、タコ社長が経営する活版印刷工場「朝日印刷所」のセットを完全再現したというもの。「労働者諸君!」という呼びかけとともに、寅さんがしばしば登場し、数々の名場面を生み出してきた場所だ。
『男はつらいよ』のセットを手掛けた出川三男美術監督による監修の下で再現されたセットには、出版業のデジタル化によって今やほとんど使われることのなくなった活版印刷機も設置。山田監督は、「働いている人の息吹が聞こえるような、工場のリアルな感じがよく出ている。そのまま撮影できそうなくらい」と感心した様子だ。
この「朝日印刷所」セット内には、インクの匂いを漂わせてあり、映画の情景がよみがえらせるような仕組みとなっている。リニューアルに際してのもう一つのポイントがこの香りの演出であり、印刷所のみならず、団子屋の匂い、果てはマドンナの匂いにまで及ぶ。まさに匂いから『男はつらいよ』の世界を追体験できるようになっている。
山田監督は今回のリニューアルを受けて、「本当に長い間、いまだに大勢の寅さんファンが応援してくれて、こんなにありがたいことはありません。それと合わせて、なぜいまだに寅さんなのかを考えてくださるといいなと思っています」と謝辞を述べた(取材・文:壬生智裕)