アカデミー賞長編アニメ部門の審査対象作品『神秘の法』がニューヨークで上映、アメリカの反応は?
アカデミー賞長編アニメ部門で審査対象作品21本の中に選ばれた日本のアニメ作品『神秘の法』が、ニューヨークのリンカーン・センターにあるエリノア・ブーニン・マンロー・フィルムセンターで上映され、同作の総合プロデューサーを務めた松本弘司が登壇し、新作への思いを語った。
同作は、202X年、東アジア共和国でクーデターが勃発して、軍部出身の皇帝が支配する帝国ゴドムが誕生し、強力な軍事力で世界中の国々を占領し始めていた。そして、その魔の手が日本にも伸びた矢先、ゴドムに抵抗する国際的秘密結社「ヘルメス・ウイングス」のもとで活動する獅子丸翔は、仏教僧に救世主が降臨することを告げられる。宗教法人「幸福の科学」の大川隆法が製作総指揮・原作・原案を手掛けた作品。
まず松本は、アイデアは今から6年前に生まれ、3年前に具体的な製作を開始、そして完成したのが今年の9月だったことを明かした。
そして、ストーリーの背景については「わたしたちは長い歴史の中で、様々な混乱や困難と向き合ってきました。最も悲しむべき出来事のひとつには、ナチスによる悪魔的行為があり、なぜこういうことが起きたのか、どうしたらそれを繰り返さなくてすむのか、それは人類にとって大きな課題であります。映画『神秘の法』では、そうした悪魔的行為の原因は、悪魔が取りつくことによって起こり得る出来事として表現しています。アドルフ・ヒトラーにも悪魔が取りつき、彼を指導していたはずです。問題なのは、ヒトラーは亡くなったけれど、その悪魔の精神は死んでいないことなんです。そういった精神が、諸国の最高責任者に宿り、その国の人々の自由を踏みにじろうとしているところにあるんです」と述べた。
さらに彼は「このような悪魔の精神が世界に広がらないとは限りません。そのため、この映画は、そうした悪魔の精神に警告を発すると同時に、信仰の自由と民主主義の大切さを訴えたいと思っています。そして、もうひとつのわれわれの問題点は、それは目に見えるものがすべてだと思い込み、目に見えないものの価値を忘れてしまうということにあります。それらは、愛、友情、優しさ、正義、正直、勇気、希望、信仰心、そして神で、人間にとって大切なものは目に見えないものばかりです。この映画を通して、観客は目に見えないものの価値を再発見してくれることを望んでいます」と語った。
アメリカ人の反応は、子ども向けのディズニー映画をよく観る彼らにとって、スピリチュアルな要素と宇宙から捉えた観点が新鮮に感じられたようで、好評価を得ていた。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)