『トロン:レガシー』のギャレット・ヘドランドが明かす、ジャック・ケルアックの「路上」の映画化作品とは?
映画『トロン:レガシー』のギャレット・ヘドランドが、話題の新作『オン・ザ・ロード(原題) / On the Road』について語った。
同作は、父を亡くした作家サル・パラダイス(サム・ライリー)が、ニューヨークで知り合って意気投合したディーン・モリアーティ(ギャレット・ヘドランド)と彼の妻メアリールー(クリステン・スチュワート)と共に、新たな可能性を求め放浪の旅に出る姿が描かれている。ビートニク作家ジャック・ケルアックが自身の体験をつづった小説「路上」を、映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』のウォルター・サレス監督が映画化した作品。
ロックバンドや世界中の若者に大きな影響を与えた小説「路上」のディーン・モリアーティ役を引き受けたことについて「高校生のときにF・スコット・フィッツジェラルドやJ・D・サリンジャーを読んだ後にこの小説を読んだけど、そのときは主人公のサル・パラダイスに共感を持った。だが、ディーン・モリアーティを演じることになって、僕自身も小説のファンだから、真実味のある演技をすることに恐怖を感じたよ……」と語った。
撮影前に行われたビートニク・ブート・キャンプとは「実は2006年の感謝祭に脚本を渡されて読み、2007年には出演契約をすでに結んでいたんだ。それ以来、僕はジャック・ケルアックのほとんどの作品を読み、ディーン・モリアーティのモデルとなったニール・キャサディのリサーチもしていたんだ。だから、撮影前に僕ら俳優たちがそろってウォルター監督が設けたビートニク・ブート・キャンプに参加したときは、ほかの俳優たちと自分のリサーチを共有するほどになっていた。そのキャンプでは、ジョン・カサヴェテス監督の映画『アメリカの影』を観たり、ケルアックが残したオーディオやケルアックの伝記を書いた原作者に会ったりしたんだ。それが、撮影前におよそ3、4週間もあった」と明かした。
ディーン・モリアーティのモデル、ニール・キャサディの性的関心について「彼とアレン・ギンズバーグの関係や他の人々との性的関係は、ディーン・モリアーティをモデルとしたニール・キャサディをリサーチするうえで、常に背景にあることだった。そのため映画全体からすると、彼の性的関心についてはそれほど大事(おおごと)だったり、議論を引き起こすようなものだとは思っていなかった。個人的には彼の性的関心は、当時の保守的な環境の中では勇敢だったと思うし、彼らの選択がその後の将来を変えていったと思う」と彼なりの見解を述べた後、1957年に出版された小説も、多くのセックスシーンが省かれていたことも明かした。
最後にギャレットは、ウォルター・サレス監督が4年間も国内でジャック・ケルアックのリサーチをしながら、ロケーションスカウトをしていたことに敬服していた。ギャレットには、コーエン兄弟の新作『インサイド・ルウェイン・デイヴィス(原題) / Inside Llewyn Davis』などが控えている。彼の今後の活躍が楽しみだ。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)