たけし、もっと感謝しておけばよかった…大島監督通夜でポツリ
15日に肺炎のため亡くなった映画監督の大島渚さんの通夜が21日、築地本願寺で執り行われ、参列したビートたけしが、大島監督との思い出を振り返った。
たけしは、大島監督が1983年に手掛けた映画『戦場のメリークリスマス』に出演。その後、1989年に『その男、凶暴につき』で北野自身が監督デビューを果たしており、「大島さんの映画に出たことが(監督をやる)きっかけになった。ありがたいよね。もっと感謝しておけばよかった」とポツリ。
同作は、第36回カンヌ国際映画祭で上映。劇中でたけしが演じたハラ軍曹は、フランス人に大きな感銘を与えたそうで、現地で多くの人から「ハラ!」と呼び掛けられたと述懐。「映画ってすげえんだな」と思うきっかけになったという。また『戦メリ』といえば、たけしの顔がスクリーンいっぱいに映し出されるラストシーンが有名であるが、「マニアックな話になるけど、映画監督が寄りを多用するのは下手だと言われている。だけど『戦メリ』のラストは(寄りを使った)勝負のカット。おれの映画で寄りが撮れないのは、大島さんの影響があるのかも」と明かした。
そんなたけしが大島監督と最後に会ったのは、2000年の第53回カンヌ国際映画祭。大島監督との再タッグ作で、くしくも大島監督の遺作となった『御法度』の上映時だった。「車いすで来た大島監督に、(乳母車が階段を落ちるシーンが有名な)『戦艦ポチョムキン』みたいなんて言ってね。それでそこから運んだら(うば捨て山を題材にした)『楢山節考』になるぞ、なんて。冗談ばかり言っていた」とほほ笑む。
その後、再び大島監督に会うことは叶わなかったというが、病気療養中だった監督に手紙と絵を描いて送ったことを明かしたたけし。最後は大島監督に「ありがとうございます。また怒ってください」と呼び掛けていた。(取材・文:壬生智裕)