大島渚監督、雨の葬儀に700人…「戦メリ」テーマで出棺
15日に肺炎のため亡くなった大島渚監督の告別式が22日、築地本願寺で行われ、雨の中を訪れた約700人の弔問客と大勢のファンが大島監督を見送った。会場には大島監督の作品映像と共に、映画『戦場のメリークリスマス』のテーマ曲が流された。
およそ700人の弔問客が訪れた告別式には、大島監督と長年の付き合いのある山本晋也監督も姿を見せ、「もう何十年の付き合い、死ぬとは思わなかった」と沈痛な表情。「あの方は話し始めると火の塊みたいな方。でも女性と話すのは苦手だったかな。それと自分の映画のことを言ったことがない。『どれが一番好き?』と尋ねたことがあったんですが聞けなかった。他人の映画の批評や批判も聞いたことがなかった」と明かした。
また大島監督はテレビ番組に対して一定の評価をしていたといい、山本監督に「テレビも一つの作品と見るしかない。コメントだって立派な作品だ」として「あんたはうまいとこ(テレビ)へ行った、正解だな。これからはテレビだよ」と語り掛けたという。山本監督は、そんな大島監督の言葉遣いを「育ちが良いんでしょうか。日本語が正確で美しい」と褒めると、「違います! 山本君、それは間違っております!」と大島監督の物まねで周囲を沸かせる場面もあった。
最後に関係者とファンに見送られての出棺。このころになると名監督の旅立ちにふさわしく、降っていた雨が上がり雲間から日が差してくる。ひつぎは俳優の松田龍平、寺島進らによって抱えられた。
そして、喪主を務めた大島監督の妻で女優の小山明子があいさつに立ち、「大島は映画人として皆様に愛されて、こんなにたくさんの方に見送っていただけで幸せな男だと思いました」と切り出し、大島監督が酒好きだったことから「今ごろ、天国で若松(孝二監督)さんとお酒を酌み交わしていることでしょう」と天国の大島監督に思いをはせる。そして弔問客に向け「大島渚の妻として今日ほど誇りに思ったことはありません。長い間ありがとうございました」と深々と礼をした。(取材・文:県田勢)