ハリウッド製作現場の女性蔑視実態が明らかに…女性は全体のわずか18パーセント
ハリウッド映画業界の雇用実態をめぐる報告書が発表され、女性スタッフは全体の20パーセントにも満たないことが明らかになった。男女の雇用機会均等が叫ばれる現在も、ハリウッドはまだまだ男性優位社会であることが示されてしまった。
同報告書は、アメリカ・サンディエゴ州立大学の研究チームが発表したもの。2012年の興行収入トップ250作品を対象に、女優を除くスタッフとして働いている女性の実態を調査した結果、製作現場で女性が占める割合はわずか18パーセントであることが明らかに。最も女性の割合が高いのはプロデューサー(全体の25パーセント)で、編集(同20パーセント)が続いている。一方、監督は9パーセント、脚本家は15パーセント、撮影監督は2パーセントにとどまっている。
これらの数字が示すのはハリウッドにおける女性の地位が低さ。だが、より問題なのは15年前と比べても女性の割合がさほど変化していないことだと指摘する声もある。同調査によると、15年前の1998年から女性の占める割合は1パーセントしか上昇していないのだ。
女性スタッフが少ない理由について、専門家は「ハリウッドではアクションものなど男性監督の多い作品が量産されている」「男性スタッフは同性と働くのを好む」といった意見のほか、「ハリウッドは基本的に女性を物とみなしており、そのセックスを売り物にする場所。そこで女性が働きたがらないのは当たり前だ」という女性蔑視がまかり通っているハリウッドの現状を憂う意見も寄せている。
だが、第82回アカデミー賞では『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督が女性として初めて監督賞を受賞するなど、徐々に風向きも変わってきている。同報告書ではビグローや、20世紀フォックスやパラマウント ピクチャーズのCEOを歴任し、女性として初めて制作スタジオのトップに立ったシェリー・ランシングを例に取り、ゆっくりと、だが確実に状況は変化しているとの結論を導いている。(編集部・福田麗)