周防正行、『終の信託』が日本映画大賞を受賞!妻・草刈民代を他の監督たちに売り込み
第67回毎日映画コンクール授賞式が7日、川崎のシネマコンプレックス「チネチッタ」で行われ、周防正行監督の『終の信託』が日本映画大賞を受賞した。
毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社などが主催する毎日映画コンクールは、1946年に創設された伝統ある映画賞。1月1日から12月31日までの1年間に国内で14日間以上、有料で劇場公開された映画を対象に、作品、俳優、スタッフ、ファン賞各部門が選考される(アニメーション、ドキュメンタリー両部門は、当該期間内に上映された作品、もしくは当該期間内に完成し、上映予定の作品が対象)。
『終の信託』で日本映画大賞に選ばれた周防監督は、妻で本作主演の女優・草刈民代と共に授賞式に出席し、周防監督は「もちろん賞をいただくのは光栄だし、うれしいんですが、年を取ったせいか、これから映画をきちんと作り続けていかないといけないんだと、重たいものを背負わされるような気分があります」と緊張の面持ちでコメント。一方の草刈は「この映画を通じて、女優という仕事を理解し始めたような気がしております」と晴れ晴れとした表情で語った。
『Shall we ダンス?』からおよそ17年ぶりの夫婦タッグとなった本作だが、再タッグの可能性について問われると、「彼女に合う役があればぜひ。ただ、世間では、草刈は僕の映画しか出ないと思っている節があるけども、そんなことはない。彼女がバレリーナを辞めた1本目だから責任をもって僕がお届けしましたが、あとは皆さん、ぜひともお願いします。彼女をいろんな作品で活躍させてあげてください」と呼び掛けた。
一方、男優助演賞を受賞したのは、『アウトレイジ ビヨンド』の加瀬亮。ヤクザたちの怒号が飛び交う本作に「不安や心配を感じていた」という加瀬だったが、今回の受賞にはホッとした表情。しかし反省点も多かったようで、「ヤクザの役がやりにくかったというのはあるけども、先輩の芝居を見ていて、芝居がもっと上手になりたいと思いました」とどん欲な姿勢を見せた。(取材・文:壬生智裕)
第67回(2012年)毎日映画コンクール受賞結果は以下の通り。
<作品部門>
日本映画大賞:『終の信託』
日本映画優秀賞:『桐島、部活やめるってよ』
外国映画ベストワン賞『ヒューゴの不思議な発明』
<監督賞、脚本賞>
監督賞:吉田大八(『桐島、部活やめるってよ』)
脚本賞:ヤン・ヨンヒ(『かぞくのくに』)
<俳優部門>
男優主演賞:夏八木勲(『希望の国』)
女優主演賞:田畑智子(『ふがいない僕は空を見た』)
男優助演賞:加瀬亮(『アウトレイジ ビヨンド』)
女優助演賞:安藤サクラ(『愛と誠』)
スポニチグランプリ新人賞:東出昌大(『桐島、部活やめるってよ』)
スポニチグランプリ新人賞:三吉彩花(『グッモーエビアン!』)
田中絹代賞:田中裕子
<スタッフ部門>
撮影賞:芦澤明子(『わが母の記』)
美術賞:部谷京子(『天地明察』)
音楽賞:大島ミチル(『僕達急行 A列車で行こう』)
録音賞:志満順一(『北のカナリアたち』)
<ドキュメンタリー部門>
ドキュメンタリー映画賞:『ニッポンの嘘~報道写真家 福島菊次郎90歳~』
<アニメーション部門>
アニメーション映画賞:『おおかみこどもの雨と雪』
大藤信郎賞:『火要鎮』
<TSUTAYA映画ファン賞>
日本映画部門:『テルマエ・ロマエ』
外国映画部門:『アベンジャーズ』
<特別賞>
特別賞:黒澤満(映画プロデューサー)