戦後史最大のタブー「M資金」を描く『人類資金』製作決定!『亡国のイージス』コンビが再タッグ
戦後史最大のタブーとされる「M資金」をテーマにした、現代の市場経済をめぐるサスペンス大作『人類資金』の製作が決定した。作家・福井晴敏のプロットを基に、福井とメガホンを取る阪本順治監督の共同脚本で映画化。『亡国のイージス』から8年、名コンビが再タッグを組むことになった。
「M資金」とは、戦時中、日本軍がアジア全域から集め、秘匿した金塊・財宝をベースにした秘密基金と考えられているもの。終戦時に日本銀行の地下から大量の貴金属やダイヤモンドが流出したこと、さらにGHQが管理下に置いた押収資産の流れに不透明な部分があることから、「M資金」の存在がうわさされるようになった。日本政府の一部の人々は、国家的転機に際してそれらの資金を現在でも極秘に運用しているとされている。
『人類資金』は、マネー資本主義というウイルスに侵された現代に閉塞感を覚える、金融ブローカーをかたる詐欺師・真舟雄一が、真偽が定かではない「M資金」を盗み出すために、アメリカ、ロシアそして全世界を巻き込んだ前代未聞のマネーゲームを仕掛けるさまを描いた作品。原作は、映画の公開と時期を同じくして複数巻で発売される予定で、映画と小説が同時進行していく新しい形のプロジェクトとなる。
作家の福井は「本当の豊かさってなんだろう? お金は、経済は、誰のために回っているものなのだろう? いま、世界中の人間が感じている居心地の悪さと真正面に向き合い、無謀にも戦いを挑んだ人々の姿を描くのが本作です」と作品を紹介。「消費されるつもりはありません。それ以上に豊かななにかを届けられる映画の力を信じ、全スタッフ不退転の覚悟で世に問います」と意気込む。
一方、阪本監督は「福井晴敏原作を旅程のガイドブックに、まだ見ぬ景色を求めて、わたしたちは旅を始めます。まだ見ぬ景色……たとえ幻視であっても、それを提供できるのが映画。あぁ、こんな景色があったのか、と膝をポンとたたいていただけるような娯楽作品に仕上げたいと思います」と展望を語った。撮影は2月下旬よりロシアのハバロフスクで始まり、3月にタイと日本、そして4月にはニューヨークで行われる予定だ。(編集部・市川遥)
映画『人類資金』は2013年秋、全国公開