日本の学生映画が「フランス映画のよう」と評される!
第63回ベルリン国際映画祭
第63回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門で映画『くじらのまち』が上映され、鶴岡慧子監督、出演の飛田桃子、山口佐紀子が上映後の舞台あいさつに登壇した。第34回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)でグランプリ、ジェムストーン賞(日活賞)をダブル受賞した本作は、ベルリン映画祭でも好評を得た。
『くじらのまち』は、女子2人と男子1人の仲良し高校生3人組のひと夏を追う青春群像劇。すれ違う恋心、不安定な思春期の心模様が細やかに描かれ、ベルリン映画祭の司会者からは「フランス映画のようだ」と評された。鶴岡監督の卒業制作である本作は、スタッフ、キャストも監督と同じ立教大学の学生。同大学を卒業した鶴岡監督は、今も東京藝術大学大学院生として映画の勉強に励む身だ。
タイトルについて鶴岡監督は「くじらの進化の過程と、主人公の『まち』を重ね合わせながら作りました。日本語では、名前の『まち』と『町』が二重の意味にもなっています」と解説。まちはさまざまな場面で水に入り、水と親和性の高い不思議な少女として描かれている。まち役の飛田は「冬の撮影のところは寒くて大変でした。まちは不思議な女の子なので難しかったですが、仲間と演じていくうちに動けるようになりました」と述懐した。
一方、山口は「演じることがほぼ初めてなので挑戦でした。でも、和気あいあいというか、やりやすい雰囲気だったので、あまり大変だったという感じはないです」とコメント。PFF2冠、そしてベルリン参加を勝ち取った壇上の若き才能たちは、勝者というよりも学生らしい初々しさが印象的だった。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)
第63回ベルリン国際映画祭は17日まで開催