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東日本大震災のその後を撮ったドキュメンタリーがベルリン映画祭で上映

第63回ベルリン国際映画祭

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『先祖になる』がベルリンで上映! - 池谷薫監督とカメラを構える福居正治
『先祖になる』がベルリンで上映! - 池谷薫監督とカメラを構える福居正治 - Photo:Yukari Yamaguchi

 第63回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門で映画『先祖になる』が上映され、現地入りした池谷薫監督、撮影の福居正治が質疑応答を行った。本作は、東日本大震災で息子を亡くした当時77歳の佐藤直志さんを追ったドキュメンタリーだ。

映画『先祖になる』場面写真

 岩手県陸前高田市で農林業を営む佐藤さんは、消防団員の息子が津波で亡くなった地元に根を張って生きていくことを決意。『先祖になる』は、佐藤さんが仮設住宅に移ることを拒んで半壊した家に住みつつ、自分で木を切り、ついには自宅を新築する姿を追いかけている。

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 上映後に登壇した池谷監督は、佐藤さんから預かったというベルリンの観客に向けた手紙を朗読。「頑固親父です」という言葉から始まる手紙には、震災後に受けた支援に対する感謝がしたためられており、苦境にあっても明るく元気な佐藤さんのキャラクターそのままのものとなっていた。

 福居は手紙を読む池谷監督を撮ったり、観客を撮ったりと壇上でもカメラマンに徹する。25年以上チームを組んできたという福居に「タケシのこと話していいかな、福居さん」と涙声で呼び掛けた池谷監督は、震災の起こる7か月前に福居が30歳の息子をガンで亡くしていたことを明かす。この仕事を頼むことがためらわれたという池谷監督だが、福居のおかげで本作が佐藤さんに寄り添うような作品になったといえるだろう。

 「(佐藤)直志さんを撮っていて、これはもはや震災映画じゃないなと思ったんですね。直志さんは人が生きていくことに大切なことを体全体で僕らに表してくれる」と語りかけた池谷監督。本作はそんな池谷監督の言葉通りの作品となっており、ベルリンの観客にもそれがしっかり伝わった様子が見て取れた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)

映画『先祖になる』は渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開中
第63回ベルリン国際映画祭は17日まで開催

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