日本映画を海外に紹介した貢献者、ドナルド・リチー氏が死去
日本映画を海外に紹介して、日本文化の伝達に大きく貢献した映画批評家のドナルド・リチー氏が、19日(火)に東京都内の病院で亡くなった。88歳だった。リチー氏の友人クリストファー・ブラスデル氏が伝えている。
ドナルド・リチー氏は、1924年アメリカのオハイオ州生まれ。終戦直後に進駐軍のタイピストとして来日し、アメリカ軍のスターズ・アンド・ストライプス紙で映画批評を担当。その後、一時帰国してコロンビア大学を卒業した後、1954年に再来日しジャパンタイムズ紙の映画評を執筆した。そして、ジョセフ・アンダーソン氏と共に執筆した日本映画史研究書「ザ・ジャパニーズ・フィルム:アート・アンド・インダストリー」が日本映画を海外に広めるきっかけとなり、黒澤明、溝口健二、小津安二郎など日本の巨匠から、独立系の作品まで紹介していた。
さらに、1969年にはニューヨーク近代美術館の映画キュレイター、2004年には東京フィルムメックスの審査委員長も務めていた。
私生活での彼は、オープンなバイセクシャルとしても知られ、男性と女性の恋人に関しても頻繁に書いていたそうだ。およそ、66年間東京に住んでいたリチー氏が、日本文化を海外に伝えた影響は大きい。ご冥福をお祈りしたい。 (細木信宏/Nobuhiro Hosoki)