故・石岡瑛子さん、アカデミー賞衣装デザイン賞受賞ならず
第85回アカデミー賞
第85回アカデミー賞授賞式が25日（現地時間24日）、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、映画『白雪姫と鏡の女王』で衣装デザイン賞候補に挙がっていた故・石岡瑛子さんが、惜しくも受賞を逃した。同賞を獲得したのは、映画『アンナ・カレーニナ』のジャクリーン・デュラン。同賞3度目のノミネートで初受賞を果たした。石岡さんは1993年に映画『ドラキュラ』で同賞を受賞しており、20年ぶり2度目の受賞なるかと注目されていた。
衣装デザイン賞の栄冠に輝いた『アンナ・カレーニナ』は、ロシアの文豪L・N・トルストイの同名小説を実写化したラブ・ストーリー。19世紀のロシアを舞台に、社交界の花として一目置かれるヒロインの究極の愛を描くとあって、登場する衣装は豪華絢爛（けんらん）そのもの。デュランは本作の監督であるジョー・ライトの『プライドと偏見』『つぐない』でも同賞候補に挙がっており、今回の受賞は3度目の正直といったところ。
惜しくも賞獲得には至らなかった石岡さんが、世界的に有名なグリム童話「白雪姫」を『インモータルズ －神々の戦い－』のターセム・シン監督がユーモアたっぷりに描いたファンタジー『白雪姫と鏡の女王』で手掛けたのは、ジュリア・ロバーツらメインキャストからエキストラ用の衣装まで計300着以上のデザイン。石岡さんの遺作となったが、生前「ターセム監督とのコラボレーションは4度目だが、本作で完璧なものになった」と充実感をのぞかせていた。
すい臓がんのため2012年1月に惜しまれながらこの世を去った石岡さんは、1980年代から拠点をニューヨークに移し、ハリウッド映画やブロードウェイの舞台、北京オリンピック開会式など幅広いフィールドで活躍してきた日本屈指のデザイナー。映画『MISHIMA』（1985年、日本未公開）ではカンヌ映画祭芸術貢献賞、マイルス・デイヴィスのアルバム「TUTU」のジャケットデザインでグラミー賞（1987年）を受賞するなど、多数の受賞実績を誇る。20日（日本時間）には本作でアメリカの第15回衣装デザイナー組合賞衣装デザイン賞（ファンタジー映画部門）を受賞したばかりだった。（編集部・小松芙未）
「第85回アカデミー賞授賞式」はWOWOWプライムにて生中継中（25日夜9時よりリピート放送）