911遺族、『ゼロ・ダーク・サーティ』音声無断使用に憤り
第85回アカデミー賞で5部門にノミネートされ1部門で受賞したキャスリン・ビグロー監督の映画『ゼロ・ダーク・サーティ』について、911被害者の遺族が憤りを示しているという。CBS Newsが報じた。
『ゼロ・ダーク・サーティ』では、911被害者がかけた最後の電話音声が多数使用されており、それが作品に真実味を与え、観客を物語世界に引き込む誘引剤となっている。しかし、ある遺族は、その音声が無断で使用されていると指摘。「息子の話を伝えるためには使いたいと思います。でも、プロモーションやコマーシャルのために使われたり、専門家に使われたりするのは嫌なんです」と思いを語っている。
この件について、配給会社のソニーと映画制作会社のアナプルナ・ピクチャーズは、文書で「『ゼロ・ダーク・サーティ』は911被害者にささげた作品」「映画公開前に被害者遺族に多数の家族とコンタクトを取った」と回答した。しかし、被害者遺族は「映画が完成した後、試写に招かれただけだ」と話している。
第85回アカデミー賞で音響賞(編集)を受賞した『ゼロ・ダーク・サーティ』。問題になっている電話音声も、その一助となっていたことだろう。『ゼロ・ダーク・サーティ』はこのほかにも、CIAによる拷問を用いての事情聴取の描写が、論争を巻き起こしていた。(編集部・島村幸恵)