10年で20人以上の女性監督が誕生!フランス映画界にニューウェーブが到来
フランス映画『ベルヴィル・トーキョー』の特別先行試写会が15日、飯田橋のアンスティチュ・フランセ東京エスパス・イマージュで行われ、フランスの女流監督エリーズ・ジラール監督が来日、女性監督を多く輩出しているフランス映画界の現状を語った。
ここ10年で20人以上の女流監督がデビューを果たしているフランス映画界の現状を反映し、「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ」のタイトルで行われる今回の特集上映。本作に加え『スカイラブ』(ジュリー・デルピー監督)、『グッバイ・ファーストラブ』(ミア・ハンセン=ラヴ監督)という、3名の女性監督の新作を上映する。
同国における女流監督の活躍について、ジラール監督は「とてもいい世代で活動できていると思います。1970年代くらいだとアニエス・ヴァルダくらいしか女性監督はいなかったですからね。現在活躍する女流監督たちとは共犯者のような、仲間意識があります」と笑顔を見せる。
本作は、妊娠中であるにもかかわらず浮気をやめられない夫に苦しめられる女と、なかなか父親になる覚悟ができない男の物語。主演には、『わたしたちの宣戦布告』で注目を集めたヴァレリー・ドンゼッリとジェレミー・エルカイムという、撮影当時実際にカップルだった二人を起用。「役者というのは、ちやほやされるものですが、本作は低予算で、しかも即興的な芝居を要求するもの。彼らにとって居心地が良い空間ではなかったと思うし、その居心地の悪さが画面にも映し出されています」と自負するジラール監督。その言葉の通り、映画では寄り添い合いたいのに傷つけあう、男女間の埋められないギャップが、えぐり出すように描かれている。
ジラール監督は、アメリカのクラシック作品を上映する映画館の広報を10年以上務めるなど、自他共に認めるシネフィル(映画通)。劇中にはルキノ・ヴィスコンティの遺作『イノセント』の映像が登場して物語に絡むほか、撮影監督にジャン=リュック・ゴダールやエリック・ロメールなどと組んだレナート・ベルタを起用。映画および映画館への愛情が詰まった作品としても注目したい。(取材・文:壬生智裕)
映画『ベルヴィル・トーキョー』は3月30日よりシアター・イメージフォーラムで6週間限定公開の特集「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ」内で上映