アボリジニーの女性4人のコーラスグループを描いた話題の映画『ザ・サファイアズ』
オーストラリアの先住民、アボリジニーの女性4人のコーラスグループ、「ザ・サファイアズ」を描いた話題のオーストラリアの映画『ザ・サファイアズ(原題) / The Sapphires』について、4人の主演女優、ジェシカ・マーボイ、デボラ・メイルマン、シャリ・セベンス、ミランダ・タプセルが語った。
同作は、1968年のオーストラリアを舞台に、アボリジニーの4人の女性(ジェシカ・マーボイ、デボラ・メイルマン、シャリ・セベンス、ミランダ・タプセル)がコーラス・グループ「ザ・サファイアズ」を、マネージャーのデイヴ(クリス・オダウド)のもとで結成し、ベトナムにある米軍キャンプが募集していたパフォーマンスショーへ出演することになり 、人種的差別や戦地での苦悩を乗り越えながら、兵士たちを勇気付けていくというドラマ作品。オーストラリアで数多くのテレビシリーズを手掛けてきたウェイン・ブレアがメガホンを取っている。
4人が姉妹を演じたことについてジェシカは「実は、デボラとは映画『ブラン・ニュー・デイ(原題) / Bran Nue Dae』で共演し、個人的にも彼女の出演している作品のファンだった。だから、彼女との再共演はご褒美のようなものなの。他の2人、シャリとミランダはわたしと同じダーウィン島で育ったため、家族同士が知り合いだったの」と演じやすい環境だったことを明かした。
アボリジニーとして生まれたが、肌が白かったために白人の家で育てられたケイ役を演じたシャリ・セベンスは「オーストラリアで実際に起きていた“The Stolen Generation”(オーストラリア政府や教会によって家族から引き離されたオーストラリアとアボリジニーの混血の子どもたち)という盗まれた世代があって、1910年頃から70年代近くまで子どもたちが連れ去られてしまった事件が記録に残っているの。これは政府が、アボリジニーと混血させないつもりでやっていたと思う。残念なことに、近年のオーストラリアではこの出来事に極力触れていなかったけれど、2007年に“National Sorry Day”といって、この“The Stolen Generation”について考える日が5月26日に設定されたの」と語った。
実在のグループ、「ザ・サファイアズ」が歌うソウルの曲についてシャリは「ソウルの曲は女性、男性、そして家族、それぞれが困難に立ち向かっている姿を歌い、誰もがなじめ、さらに人々はそんな曲に励まされる」と答え、続いてミランダは実在の「ザ・サファイアズ」の当時のメンバーからも話を聞いたそうで、当時のメンバーたちも、この映画のように姉妹でよく言い争いをしていたそうだ。
最後に、6週間の撮影についてデボラは「撮影の準備期間は2週間で、最初にニューサウスウェールズ州のシドニーで7月から8月にかけて撮影して、11月に最後の6週目をベトナムのホーチミンで撮影したことを明かした。映画は歴史的な観点と娯楽的な要素を上手く交錯させた興味深い映画に仕上がっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)