ダスティン・ホフマン、涙の21年ぶり来日!初監督作品への熱い思い明かす
21年ぶりの来日を果たしたダスティン・ホフマンが8日、都内で行われたジャパンプレミアに出席し、涙ながらに初監督作品『カルテット!人生のオペラハウス』の撮影を振り返った。
この日、映画『フック』(1992年公開)のプロモーション以来、21年ぶりの来日を果たしたダスティン。ファンの大歓迎に「アリガト」と穏やかな日本語で応えるなど、終始ご機嫌な様子だったが、老人ホームで暮らす元音楽家たちを描いた『カルテット!人生のオペラハウス』に、元ミュージシャンやオペラ歌手を起用したことに言及すると、こみ上げる涙で目を赤くし、「彼らからすばらしい贈り物を受け取った気がしていますし、彼らに新しい人生が始まり、お互いに贈り物を贈り合えた気がします」と語った。
胸を熱くした理由には、「アメリカや西洋では、年老いたミュージシャンにチャンスを与えず、リスペクトしない傾向がある」というダスティンの思いがあった。ジャパンプレミアの席で、ダスティンはキャスティングした年老いたアーティストたちが素晴らしい演奏をしたことを振り返り、「彼らは本当に素晴らし演奏をしてくれたけど、『20年間誰からも仕事がこなかった』と落ち込んでいたものもいた。だから、仕事をお願いしたら本当に喜んでくれた。朝6時から14時間に及ぶ撮影にも付き合ってくれました」と撮影を振り返った。
また、撮影では、彼らのリアルな姿を撮るべく、「演技をするな、演技をしなくていいから今現場で感じているものをそのまま映像に撮りましょう」と呼び掛けたというダスティン。「皆、人生の最終章に差し掛かっているので、そのままの気持ち、歳を取っていることがどういうことなのかをそのままぶつけましょう。目が見えにくくなっても耳が聞こえにくくなってもセクシーな気分でいるんです。それを撮りましょう」と本作を撮り上げたことを明かした。
『カルテット!人生のオペラハウス』は、『クレイマー、クレイマー』『レインマン』で2度のアカデミー賞主演男優賞に輝いたダスティンが、75歳にして初めてメガホンを取った作品。第一線を退いた音楽家たちが入居している老人ホーム「ビーチャム・ハウス」を舞台に、経営難のホームの存続を懸けて開催する復活コンサートに奮闘する姿を描く。(取材・文:中村好伸)
映画『カルテット!人生のオペラハウス』は4月19日よりTOHOシネマズシャンテ、Bunkamuraル・シネマほかにて全国順次公開