宮藤監督最新作『中学生円山』に韓国人有名俳優が出演のワケ!
思春期特有の妄想に明け暮れる中学生・克也と、草なぎ剛演じる謎のシングルファーザーが巻き起こす騒動を描いた映画『中学生円山』になぜ韓国人有名俳優であるヤン・イクチュンが出演することになったのか、イクチュン本人とメガホンを取った宮藤官九郎監督が語った。
各国の映画賞を総なめにした、イクチュンの監督&主演作『息もできない』を観たばかりだったという宮藤監督は、「演じている役柄は全く違うけど、なんとなくコメディーの才能もあるんじゃないかと思ったんですよね」とイクチュンの起用理由を説明。だが、実際にオファーをしてみるとなかなか返事をもらえず、「ああ、ダメなんだ」とほとんど諦めていたと当時を振り返る。
というのも、『息もできない』で製作まで務めたイクチュンはその頃、同作の後処理に追われていた。そのため返事をするのが遅くなってしまっただけで、宮藤監督からのオファーは「『宮藤官九郎』とインターネットで検索したら、『GO』の脚本を書いた人だとわかった」ため、即、受けることを決めたという。
後日、エージェントから「本当にいいんですか?」と確認の電話があり、「それで監督のほかの作品を観てみたら、トリップする時代劇(『真夜中の弥次さん喜多さん』)だったり、宮崎あおいの顔にうんこが付いたり(『少年メリケンサック』)。危ない人なんじゃないかと思いました(笑)」とイクチュン。しかし、実際に現場に入ると「監督が普通の人だとわかって安心した」といい、克也の母(坂井真紀)が観る韓流ドラマ「愛、そしてチャンジャ」の主人公、日本で売れたために韓国でバッシングに遭い、引退を余儀なくされた元韓流スターの電気工、そして克也の妄想の中で暴れる処刑人プルコギを見事に演じ分けた。
そんなイクチュンを、宮藤監督は「何をやらせてもうまいんですよね。韓流ドラマのシーンでは、韓流スターの特徴をよく捉えていて、客観的に観ているんだなと思ったし、胸元をはだけさせた坂井さんとのシーンではチラッと見るしぐさが絶妙で(笑)。草なぎくんとのアクションシーンは、やっぱり得意な感じがしました」と絶賛。「なんで出演してくれたのか不思議に思っていた」という宮藤監督だったが、ようやく疑問が解消され笑顔を見せていた。(写真・文:小島弥央)
映画『中学生円山』は5月18日より全国公開