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大人から虐待を受けた子どもの周りで怪奇現象が巻き起こるホラー『ダーク・タッチ』

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マリナ・ドゥ・ヴァン
マリナ・ドゥ・ヴァン

 映画『8人の女たち』の脚本を執筆し、映画『イン・マイ・スキン 人には言えない、私が本当にしたいこと』から監督としても活躍し始めたマリナ・ドゥ・ヴァンが、新作『ダーク・タッチ(原題) / Dark Touch』について、現在開催されているトライベッカ映画祭(Tribeca Film Festival 2013)で語った。

 同作は、突如起きた怪奇現象によって両親と弟を失ったアイルランドに住む11歳の女の子ネーヴ(マリー・ミス・キーティング)は、近所に住むカップル、ナットとルーカスのもとに引き取られて新たな生活を送り始めた。だが、新しい学校のクラスの中に、母親から虐待を受けている2人の生徒が居ることを知り、その生徒たちを母親から助け出そうとネーヴが動き始めたときに、また怪奇現象が起こり始めるというホラー作品。マリナ・ドゥ・ヴァンは、本作では監督だけでなく脚本も執筆している。

 彼女はフランスの俊英フランソワ・オゾンと同じ映画学校の学生だったそうだ。「そうなの! 彼とはThe French National Film Schoolで共に学び、学生時代には幾つか彼と共に短編も手掛け、長編作品では『まぼろし』、『8人の女たち』でもタッグを組んできたの。彼の演出からいろいろ学んできたことが、この映画にも生かされていると思う」と語った。

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 映画内では怪奇現象が起こるため、身体的能力と演技能力がかなり問われる主役に挑戦した新人子役マリー・ミス・キーティングのキャスティングについて「実は、何百人もの子どもをオーディションしたわけではなく、アイルランド出身の14、15人の優れた感覚を持った子役たちをオーディションして、その中から選択しただけなの」と語り、さらに主役のマリーは、アイルランドの人気グループ、ボーイゾーンのメンバー、ローナン・キーティングの娘であることも明かした。

 本作は、怪奇現象と子役の出演で演出が難しかったのではないか。「事前にどのようなショットになるかショットリスト(カメラのアングルなどを記したもの)と、(俳優を含めた)絵コンテを描いて、スタッフに事前にほとんど把握させてから、セットで調整していくことになったわ」と説明した。

 『イン・マイ・スキン 人には言えない、わたしが本当にしたいこと』では監督/脚本/主演も務めた彼女だが、次の監督作を製作するまで時間が掛かったことについて「自分が共に仕事をしたい人物を探すのと、製作費の捻出に時間が掛かったの。一度、監督としてデビューして、ある程度の評価を受けても、女流監督がすぐに次の作品を手掛けることは、まだまだ難しい環境にあると思うわ」と明かした。

 映画は、子どもの視点から大人の虐待を描き、さらにその虐待によって怪奇現象が生じていくという興味深いホラー作品になっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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