『レ・ミゼラブル』における録音&キャストの苦労…サウンド担当が明かす!
映画『レ・ミゼラブル』でサウンドを担当したジェラード・マッキャンとジョン・ウォーハーストが、事前録音をせずにキャストが演じながら歌うという特殊な方法を取った本作における苦労やトム・フーパー監督の手腕について語った。本作では、撮影現場に設置されたピアノブースからの、演技のタイミングに合わせた伴奏をキャストが無線イヤホンで聞きながら歌い、その歌声をマイクで拾うという作業が行われた。
『英国王のスピーチ』でもフーパー監督と組んだマッキャンは「そちらでも映画に合わせてオーケストラが演奏したベートーベンを録(と)っているから、本作と技術的なリンクがあるんだよ」と前作から発展させてきた技術であることを明かす。また今回の挑戦は、アナログな手法も駆使してのものになった。足音を防ぐためにカーペットを敷き、最初は衣装の裏に付けたマイクも、きぬ擦れの音を拾ってしまうことが判明したため表に付け替えられた。それを衣装と同色の布をかぶせて隠したという。
マッキャンは、撮影が始まるかなり前からキャストがボーカルコーチの下、歌のトレーニングに励んでいたことにも触れ、「1回か2回うまく歌えただけではだめだからね。雨が降ろうが風が吹こうが歌うのだから、撮影を通して歌い続けるスタミナも必要になる。歌のマラソンみたいなものに備えている状態だったね」とコメント。「キャストにとってもとても大きなチャレンジだよ」と撮影を振り返った。
オスカーをはじめとした数多くの映画賞を獲得し、その苦労が報われた形の本作。マッキャンは「大変だったけど、その場で音を録音するというのは、演技の上でも製作費の面でも大変良いことだった。この映画が成功させた技術はこれから使われるようになるかもしれないね」と予測。フランス革命を描いた本作が、映画技術の上でも革命を起こすことになりそうだ。
また、マッキャンは『ザ・ビーチ』で、ウォーハーストは『127時間』でそれぞれ音楽エディターを務め、「映画を体験するうちの70パーセントは音によるものだ」と語るほど音を重視するダニー・ボイル監督と仕事をした経験も持つ。フーパーとボイルという2人の名監督について、ウォーハーストは「完璧主義者。厳しい要求を出せるのが優れた映画監督だしね」、マッキャンは「常にチャレンジしている。だからこそ、みんなが一緒になってチャレンジすることができるんだ」と共通点を挙げてたたえていた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)
映画『レ・ミゼラブル』ブルーレイ&DVDは6月21日発売(発売元・販売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント)