アンジー初監督作、8月日本公開決定!ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を題材に禁断の愛を描く
ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞にもノミネートされたアンジェリーナ・ジョリーの初監督作『最愛の大地』(原題:In the Land Blood and Honey)が、8月10日より新宿ピカデリーほかにて日本公開されることが決定した。アンジェリーナは本作で、監督だけでなく脚本も務め、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の裏で虐げられた女性の話を基に、映画を制作した。
アンジェリーナ・ジョリー初監督作『最愛の大地』フォトギャラリー
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)親善大使を務め、積極的に慈善活動に取り組んでいることでも知られるアンジェリーナ。本作を制作するに至った経緯については、「人間の盾として使われ、ひどく痛めつけられた女性の話を聞き、人として女性としておとしめられた彼女たちの気持ちにどれだけ寄り添えるか不安だった。でも、これはわたしでなくては描き切れないと感じた」と明かしている。
1992年、紛争が激化するボスニア・ヘルツェゴビナを舞台に、セルビア人に捕らえられ収容所に収監されたボスニア人女性アイラ(ジャーナ・マリアノヴィッチ)と、かつての恋人である将校ダニエル(ゴラン・コスティッチ)との愛の物語を描いた本作。聖書の「a land of milk and honey(乳と蜜の流れる地)」のフレーズを基に付けられた「In the Land Blood and Honey(血と蜜の流れる地)」という原題には、「実り豊かな安楽の地」という意味があり、邦題では「最愛の大地」というタイトルに、その思いが込められた。
ボスニア・ヘルツェゴビナでは、「性暴力の犠牲となった女性の話を恋愛映画にしている」といった批判も上がり、公開が危ぶまれたこともあったが、アンジェリーナは本作に抗議した女性団体に単身説明に出向くなど、そこに込めた思いを真摯(しんし)に伝えてきた。当時を振り返り、アンジェリーナは「映画をわかってもらっただけ。この映画で起きていることは現実にあったこと。虐げられた人がいるという事実を共通認識にしなければ、歴史は繰り返す。そのことが彼女たちに伝わったと思う」と語っている。
そうしたアンジェリーナの思いが伝わり、ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞にノミネートされたほか、全米プロデューサー組合(PGA)賞で意欲的に社会問題を扱った作品に贈られる特別賞、スタンリー・クレイマー賞を受賞する快挙を成し遂げた本作。全米公開の際に制作された予告編では、映し出される「Love can change what we want(愛はわたしたちが欲しいものを変えうる)」「War can change who we are(戦争はわたしたち自身を変えうる)」の文字が印象的だった。待望の日本公開が注目される。(編集部・島村幸恵)
映画『最愛の大地』は8月10日より全国公開