『ホットファズ』の売れっ子映画音楽家、映画と音楽の関係を解説!
映画『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』などの音楽を手掛けたことで知られるデヴィッド・アーノルドが、サンダンス・ロンドン・フィルム&ミュージック・フェスティバルでトークショーを行った。アーノルドは『ズーランダー』や『007』シリーズといった映画のほか、「SHERLOCK(シャーロック)」などのテレビドラマやロンドン五輪閉会式の音楽監督まで担当する売れっ子だ。
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デヴィッドが映画音楽家の道を進むことになったのは、学生時代に友人だったダニー・キャノン監督に短編映画の音楽を頼まれたことがきっかけだという。その後二人は再び、監督、音楽家としてタッグを組み、長編映画デビュー作『プレイデッド』を制作。この成功によって世に名前を知られることになった。
「映画というのは全てが大事だ。自分だけではどうにもならない。映像と特撮に音のアンサンブル。ある時点から、映画はそれ自体で出来上がっていく。人のコントロールの及ばないものがある。それが何かはわからない」と映画への畏敬の念を感じさせるコメントをしたデヴィッド。「そうやって完成した映画をみんなが好むかどうかはまた別の話。観客に受け入れられなかったらそこで終わりだよね。僕はラッキーだった。映画が好まれ、また次の仕事を頼まれた」と謙虚に自身のキャリアを振り返った。
また、デヴィッドが実際どういう手順で映画に音楽をつけていくかを『007』シリーズのジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)が駆けるシーンで実演してみせるコーナーも。まずはボンドの走るリズムに合わせて曲のリズムを作り、そこにメロディーを乗せ、最終的にオーケストラの音楽がせりふや効果音と重なると胸躍るシーンが出来上がった。
スペクタクルを大いに盛り上げる音楽だが、コメディーでの役割は違うとのこと。『ズーランダー』を例に挙げたデヴィッドは、「ベン(・スティラー)と働いて興味深かったのは、どこにコメディーラインを置くかについて科学的だということ」「コメディーのリズムを理解しなくてはいけない。どこを強調し、どこでストップさせるか」と語る。コメディーでの音楽は脇役に徹することが大事なようで「面白い音楽なんてものはないからね。音楽で面白くしようとしたらひどいことになる。映像が面白ければもうそれだけで面白いわけだし」と解説した。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)