唐十郎×蜷川幸雄、伝説のツーショット!古田新太は「死ぬ前に間に合ってよかった」
劇作家の唐十郎が渋谷のBunkamura オーチャードホールで行われた舞台「唐版 滝の白糸」「盲導犬-澁澤龍彦『犬狼都市より』-」合同制作発表会見に飛び込みで出席し、長年タッグを組んでいる演出家・蜷川幸雄とのツーショットを披露した。
2012年5月に自宅で転倒し、脳挫傷と外傷性脳内血腫のために半年間の入院生活を送っていた唐。今年の2月に行われた「朝日賞」授賞式では8か月ぶりに公の場に登場して健在をアピールしたが、この日の会見にも急きょ来場。まだ声が出にくいということもあり、この日、言葉を発することはなかったが、足取りはしっかりとしたものだった。
一方の蜷川も今年1月に狭心症のため入院し、手術を受けていたことが話題に。だが蜷川はこの日、唐とは対照的にいつもの調子で語り通し。1975年の「唐版 滝の白糸」の初演を振り返ると、大映の東京撮影所を劇場に見立てた大掛かりな装置について「商業演劇で評判が悪かった唐さんから電話が掛かってきて。大映の東京撮影所の一番大きなステージを借りて、俺は(大映の巨匠で、無声映画『瀧の白糸』のメガホンをとった)溝口健二になるんだと言って、長屋を600軒くらい建てて、やりました」と述懐する。
その初演は、日本アート・シアター・ギルド(ATG)で知られる葛井欣士郎の退職金300万円を基に制作されたが、蜷川は「見事に赤字になりましたが、とても大好きな作品です。今回、平幹二朗さんが演じる銀メガネの役は、実は(「新劇の神様」と呼ばれた名優)滝沢修さんに出てほしかった役。唐さんと二人で出てくれと電話したけど、断られた、なんて思い出もあります」と懐かしそうな顔を見せた。
一方、「盲導犬-澁澤龍彦『犬狼都市より』-」に出演する古田新太は、「ずっと蜷川さんと唐さんの芝居ができないかと思っていて、やっと願いがかないました。大好きな蜷川先輩と唐先輩が死ぬ前に間に合って良かった」とブラックジョークを発し、会場を笑わせた。(取材・文:壬生智裕)
舞台「盲導犬-澁澤龍彦『犬狼都市より』-」は7月6日~28日、「唐版 滝の白糸」は10月8日~29日まで渋谷のBunkamura シアターコクーンにて上演予定(大阪公演もあり)