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これがマレーシアの新潮流!故ヤスミン・アフマド監督のミューズの来日舞台あいさつに客席は満員

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お美しい……シャリファ・アマニ
お美しい……シャリファ・アマニ

 オーディトリウム渋谷で開催中の、日本初のマレーシア映画の特集上映「シネ・マレーシア2013」で25日、故ヤスミン・アフマド監督作品のミューズとして、日本のアジア映画ファンの間でも人気が高いシャリファ・アマニが満員の観客の前で舞台あいさつを行った。さらにこの日は、日本・マレーシアの合作映画『クアランプールの夜明け』のワールドプレミア上映も行われ、桧山あきひろ、浜田晃、細井尊人監督も来場した。

 2000年ごろからマレーシアの映画界では、若手の映画監督を中心とした「マレーシア新潮流」と呼ばれるムーブメントが発生。このムーブメントは、マレー語によるマレー人のための映画であることが主流であった自国内の映画界とは真っ向から対立。マレーシア社会の現実を反映させて、他民族性や多言語性を積極的に織り込んできた作品群は、世界的に高い評価を受けてきた。

 2009年7月25日に急逝した故ヤスミン・アフマド監督は「マレーシア新潮流」の牽引者として知られ、世界的に高い人気を誇ってきた女流監督。日本人の祖母を持つヤスミンは、女優の杉野希妃プロデュースで、自らのルーツを探る新作『ワスレナグサ』の撮影を日本で行うことを予定していたが、ヤスミンの死によりそれは実現しなかった。そのことについて「日本でもヤスミンの人気が高くてうれしい。『ワスレナグサ』は非常に美しい話でした。それが実現できなくて本当に残念」と切り出したシャリファは、「ヤスミンは、私を映画の世界に引き連れてくれた、もう一人の母親だった」と故人をしのぶ。

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 「オーキッド・三部作」と呼ばれる作品群で、活発でチャーミングな主人公のオーキッドを演じ、アジア映画ファンに絶大なる支持を集めるシャリファ。しかし彼女の最新作『クアランプールの夜明け』では一転。娼婦に身を落とし、子どもを愛せないシングルマザー役を熱演している。「恐ろしいくらいに混沌としたものを抱えていて、観ていて怖いですが、このようにダメージを負った役は気に入っています」とコメントするシャリファ。彼女にとっては本作は新境地となった。

 そしてこの日はシャリファが初監督した短編『サンカル』も上映。さらに2本の監督作もすでに完成させているという。ヤスミン・アフマドの遺伝子を受け継ぐシャリファの今後の活躍が楽しみな上映会となった。(取材・文・壬生智裕)

特集上映「シネ・マレーシア」は5月31日までオーディトリウム渋谷で開催中

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