名優テレンス・スタンプに電話インタビュー!『アンコール!!』号泣必死のラストは1テイクで撮った!
映画『アンコール!!』で主演を務めたイギリスの名優テレンス・スタンプが電話インタビューに応じ、妻役のヴァネッサ・レッドグレーヴとの共演や号泣必至のラストシーンについて語った。本作は、老人合唱団を舞台に、老夫婦の深い絆をロックやポップスの名曲で彩った感動作。テレンスは、妻マリオンにはぞっこんながら、頑固者で一人息子とギクシャクしているアーサーを演じている。
かつては二枚目俳優として名をはせたテレンスが、実年齢と同じ普通の老人を演じたのはこれが初めて。「観客に自分の本当の年齢がバレてしまうと心配した」とためらいもあったが、新鋭ポール・アンドリュー・ウィリアムズ監督の脚本に魅了され出演を決意。役づくりのため「わたしは父を愛していたけど、父はわたしに愛を示してはくれなかった」と本作にも通じる実の父親との関係、そして彼の振る舞いや老い方を、時間をかけて思い出したと語る。
本作の魅力はアーサーとマリオン、そして老人合唱団を指揮する若い音楽教師(ジェマ・アータートン)のチャーミングな関係性だが、「ヴァネッサとジェマとは普通の雑談をしただけで、演技については一切話さなかった」と驚きの事実を明かしたテレンス。そんな離れ業が可能だったのは「互いが互いに自信を持っていて、何も言わなくても何をやりたいのかがわかる」という理想的な関係が自然と出来上がるほど相性が良かったからだ。
合唱団を舞台にしているだけあり、テレンスにはラストにソロで歌うという大きな見せ場がある。「脚本を読んだときは物語のクライマックスだしナーバスになったが、撮影は順撮りで、それまでの撮影がとてもうまくいっていたから、深い感情が自然と表れてそれをたやすく歌に乗せることができた。だから1テイクで撮った。撮影最終日の夕方だったから、実際1テイクしか撮る時間はなかったんだけど」とテレンスは笑いながら裏話を明かした。
ボイストレーナーとの練習時間は2時間ほどしか取れず、歌詞を学び、息継ぎや強調する箇所を確認する程度だったというが、若い頃から発声練習を欠かさなかったテレンスが披露する素晴らしい歌声は必聴。アーサーからマリオンへの思いが詰まった心揺さぶる一曲を、ぜひ劇場で堪能してほしい。(編集部・市川遥)
映画『アンコール!!』は7月5日より全国公開(TOHOシネマズシャンテでは公開中)