巨匠ウディ・アレン、6年ぶりに自作に出演した理由とは? 『ローマでアモーレ』で直撃インタビュー
巨匠ウディ・アレンが、新作『ローマでアモーレ』について語った。
同作は、イタリア人と婚約した娘のもとを訪れる元オペラ演出家(ウディ・アレン)、恋人の友人で小悪魔的な女優(エレン・ペイジ)に恋し始める建築家(ジェシー・アイゼンバーグ)、純朴な新婚カップルのもとに現れたコールガール(ペネロペ・クルス)、突然スターに祭り上げられる平凡な男(ロベルト・ベニーニ)など、様々な人間模様が古都ローマで展開される。
本作でローマを描いたのは「イタリア全土が好きで、特にローマはずっと好きだった。個人的にはベネチアも好きで、以前ベネチアで撮影をしたことがあり、その時の撮影は楽しかった。今回はローマ市が製作資金を提供してくれたために撮影ができ、わたしと家族は素晴らしい時を過ごせた」。
6年ぶりに自作に出演したのは「脚本を書いた時点で、わたしが演じられそうな役があった場合は演じ、そうでない時は出演はしない。今回は自分が演じられそうな役があったから出演しただけだよ」。
ロベルト・ベニーニと自身のコメディーを比較して「僕は監督兼脚本家で、たまにパートタイムで俳優に挑戦するが、彼はわたしと違い素晴らしい俳優だ。彼を観ていると、どんなことでもできそうな気がする。彼ならチェーホフやシェイクスピアの舞台劇もできる、そんな彼と比較すると自分の存在が小さく見えてしまう」。
エレン・ペイジ演じる女優は苦悩する芸術家に憧れるが、アレン監督自身が感じる苦悩は「映画の製作は全て運まかせだ。ある映画の製作には苦悩だけを感じ、また別の映画では楽しいことばかりの時もある。どちらが良いとも言えないが、時々苦悩した映画の方が良い作品になることはあると思う」。
映画は、イタリア映画好きのアレン監督が、フェデリコ・フェリーニやヴィットリオ・デ・シーカ作品をほうふつさせるしゃれた演出を施し、人間模様が興味深い作品に仕上がっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)
映画『ローマでアモーレ』は6月8日より全国公開