『「闇」へ』アレックス・ギブニー監督が暴くウィキリークス機密情報漏えいの裏側
映画『「闇」へ』のアレックス・ギブニー監督が、新作『ウィー・スティール・シークレッツ:ザ・ストーリー・オブ・ウィキリークス(原題) / We Steal Secrets: The Story of WikiLeaks』について語った。
アレックス・ギブニーら気鋭の監督が参加 映画『ヤバい経済学』フォト
同作は、政府や機関の内部告発や情報漏えいを伝えるサイト、ウィキリークスを通して世間を騒がせたジュリアン・アサンジと、大量の米軍機密情報を流出させた米軍情報分析官ブラッドリー・マニングとハッカーのエイドリアン・ラモを中心に描いた話題のドキュメンタリー作品。
膨大なウィキリークスの情報が交錯する中、監督は「5人のスタッフがさまざまな情報を集めて製作した」と明かし、若き日のジュリアンから現在までを見事にまとめあげた。さらに彼は「撮影当初は全てジュリアンを描く予定だったが、(高額な出演料で)彼をカメラの前に立たせられなかったことが逆に幸いし、そこで(米軍機密情報を流した)ブラッドリーに着眼して、彼が所有する機密情報をウィキリークスに流したエイドリアンとの関係を含め、ウィキリークスの全体像をより明確にさせた」と明かした。
脅威なことは「ブラッドリーとジュリアンらが世界に影響を及ぼすアイデアを所有していたことだ。現在、政府や企業のパワーを支配する中で、コンピュターのキー(情報漏えい)で同様のパワーをもたらすことが脅威だ」。
ジュリアンがスウェーデンでの性的暴行容疑(コンドーム破損)で逮捕前に、被害者からエイズテストを受けたら訴訟を取り下げると言われたことを、メディアが報じた。彼はこの中傷はウィキリークスをたたくものとして、逆にウィキリークスの宣伝に利用した。「この件を彼はパーソナルな問題として解決すべきだったし、パーソナルな問題をウィキリークスと関連させたことは間違いで非難されるべきだ」と述べた。
映画は、政府や機関の不正行為の漏えいでジュリアンを英雄視する人々と、人を利用して仲間さえ離れていく彼が対照的に描かれており興味深い作品になっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)